魚が地中を泳いでる...? 富士山麓にある「森の中の水族館。」が完全にファンタジーの世界だった
水族館は、どちらかといえば海の近くに建っているイメージが強い。全国的に有名な沖縄美ら海水族館(沖縄県国頭郡本部町)や海遊館(大阪市)もそうだ。
その一方で、「森の中」にも水族館があるとツイッターで話題になっている。しかも海に面してない山梨県に位置しているという。
森の中の水族館とはどんなものなのか...その写真がこちらだ。
水の中を気持ちよさそうに泳ぐ魚たち。その後方には木々が茂り、まるで森の地下に魚たちが生息しているようだ。なかなかに神秘的な光景だが...いったいどんな構造になっているのか。
実はこれ、館外にある池を横から覗けるようにした「横見水槽」。魚たちが泳いでいるのは普通の水槽ではなく、本物の池の中なのだ。
この水槽があるのは、淡水魚を専門とする山梨県立富士湧水の里水族館(通称『森の中の水族館。』山梨県南都留郡忍野村)。世界文化遺産・富士山の構成資産で、国の天然記念物でもある湧水池「忍野八海(おしのはっかい)」の近くに位置している。
ツイッターではこの「横見水槽」と、館内で一番大きい「二重回遊水槽」の写真が話題となり、
「夏の間だけ住みたい...」
「山の中なのも気持ちいいし、雰囲気もいい また行きたいなぁ~」
「ここ、人がすくなくてめちゃくちゃ穴場で良いところなんですよ。夏でも涼しいし素敵」
といった声が寄せられている。
畳に寝転んで魚を鑑賞
Jタウンネットは2020年8月19日、富士湧水の里水族館を運営する桔梗屋(本社・山梨県笛吹市)の広報担当者に詳しい話を聞いた。
富士湧水の里水族館は、2001年4月に開館。富士山麓の森の中に位置する木材張りの水族館で、建物を半分囲むような外池が特徴的だ。
担当者によれば、水族館では約100種1万匹の生物を展示。地下から汲み上げた、透明度の高い富士山の湧き水を飼育水に利用している。館内には大型水槽7本が設置されているが、今回話題となった「二重回遊水槽」と「横見水槽」は特に人気があるという。
「二重回遊水槽」は館内中央に位置するドーナツ型の水槽。大きな水槽の内側に小さな水槽があるという二重構造で、魚の大きさによって水槽が分けられている。分かれていても、魚たちが一緒に泳いでいるように見えるのが魅力的だ。
また「横見水槽」は先述の通り池の中を横から覗ける水槽で、1メートル以上のチョウザメや大きなニジマスが悠々と泳いでいる。普段は水槽横に畳が設置され、寝転んだ状態で魚を鑑賞できるが、現在は新型コロナウイルス対策のため撤去されているという。
来館者からは、
「海の近くにある水族館とは雰囲気が全然違うので面白い」
「海のない山梨県で水族館があるなんて驚いた」
「綺麗で落ち着いていて良い水族館だった」
といった声が寄せられているそうだ。
魚の「説明」にも注目
森の中にあることで話題になった富士湧水の里水族館だが、特徴はそれだけではない。ツイッターでは水槽付近に掲示された「説明書き」に注目する声も複数見られる。
それがこちら。「飼育スタッフのコメント」を見てほしい。
ニホンウナギの豆知識「ニホンウナギの血には毒があり、人間が血を1リットル飲むと死ぬ可能性もある」に対し、飼育スタッフのコメントは、
「どんな生き物の血でも、1リットルも飲んだら死んでしまうのでは?」
...たしかに一理ある。真偽のほどは分からないが冷静なツッコミだ。
またアユに対しては、
「ほかの魚よりもタラコ唇に見えません?結構柔らかいらしいですよ」
と謎の情報。いったいどう活かせというのだろうか。
担当者によれば、以前は専門的な内容の掲示をしていたが、あまり読んでもらえなかったそう。現在の掲示になった理由については、
「お客様から『生き物の長所とか短所がわかったら面白い』という声がありました。そのため生き物の説明だけでなく、親近感の湧きやすいコメントを付けることで、楽しく読んでもらえるようになるのではないかと思いました」
と説明している。
メジャーではないが、見どころが多いこちらの水族館。「忍野八海」に行ったついでに訪れてみるのもいいかもしれない。