まるで曾祖父とひ孫...? 広島で「年齢差93歳」の路面電車が発見される
「その年齢差なんと93歳」
2020年8月11日、ツイッターユーザーのKHS(@KHS10812133)さんが、こんなコメントとともに、広島市内で撮影したある光景を投稿し、注目を集めた。
いったい何の年齢差なのか――投稿された写真が、こちらだ。
写真の中で並んでいるのは、広島市内を運行する広島電鉄(本社・広島市)の路面電車だ。
左の緑色の車両が1926年製造の570形、右は2019年製造の5200形。つまり製造年の差は「93年」――人間でいうと曾祖父母とひ孫ぐらいの年齢差だろうか。 路面電車の歴史を感じる、なんだか感慨深い2ショットだ。
KHSさんによれば、撮影場所は広島駅。ツイッターでは投稿に対し、
「コレぞ、路面電車王国広島!」
「まだ、戦前車が、走ってたんですね(驚愕)」
「久々(10年ぶりくらいかな?)に広電乗りたくなってきましたw」
といったコメントが寄せられている。
平日朝に見られる光景
Jタウンネットは19日、広島電鉄電車企画課の担当者に、それぞれの車両について詳しい話を聞いた。
広島電鉄の公式サイトでは、写真の570形582号(1926年製造)はもともと神戸市電として運行していたものだと説明されている。神戸市電が71年に廃止されたのに合わせて、広島電鉄が購入したそうだ。
担当者によると、570形582号は60年に大規模な改造を伴う車体更新がされており、製造時の部品等が部分的に残っている状態。現在同社が保有している570形は582号(一車両編成)のみだという。
一方、「グリーンムーバーエイペックス」(2019年製造)の愛称で知られる5200形は、5車体から構成される超低床車両。5201~5204号の4編成が広島電鉄に在籍し、KHSさんが撮影したのは5201号だという。広島電鉄のイメージカラーであるグリーンを取り入れつつ、「モノトーン+アクセント」の意匠でまとめた未来的なデザインとなっている。
KHSさんの写真のように、この2車両が並ぶことは日常的にあるのだろうか。担当者に聞いてみると、
「570形582号は平日の朝ラッシュを中心に営業運転しているので、その時間帯であればありえます」
とのこと。また、広島電鉄は保有している車両形式のうち、最低1両は廃車をせず保存していく方針。唯一の570形である582号の活躍は、今後も見ることができるという。
担当者は570形と5200形の写真が話題になっていることについて、
「当社は、製造年やデザインや歴史が異なる26の車両形式を保有しております。それぞれの車両に魅力がありますので、それらが話題になることは光栄です。実車両は、写真以上に魅力的ですので、ぜひご乗車ください!」
と話した。