「橋」の英訳がバラバラすぎる標識が話題 なぜ3パターンも?その理由を調べてみた
飯田橋、神田橋、二重橋、永代橋......このように、「橋」が付く行先ばかりが並んだ案内標識が、ツイッターで話題になっている。
注目を集めた理由は、それぞれの英語表記だ。
これは都道405号、丸の内インター近くの鍛冶橋交差点(東京・中央区)に設置されている案内標識だ。
「飯田橋」Iidabashi
「神田橋」Kanda Bridge
「永代橋」Eitai Bridge
「二重橋」Nijyubashi Bridge
飯田橋はそのままローマ字、神田橋と永代橋は「神田」「永代」がローマ字で「橋」が英語。二重橋は「二重橋」をローマ字にした後に「Bridge」が付け加えられ、「bashi」と「Bridge」が併用されている。「橋」が被っているのだ、二重橋だけに...。
そして、付近にはこんな標識も。
「新橋」Shinbashi
新橋は飯田橋と同じく、そのままローマ字。永代橋と二重橋は先ほどと同じ表記だ。
同じ「〇〇橋」なのに、なぜ英語表記が異なるのだろうか。
「二重橋ブリッジ」間違いではなかった
英語表記が異なる「橋」だらけの標識は、ツイッターユーザーのhito_horobe(@hito_horobe)さんの2020年7月27日の投稿がきっかけで話題になった。
なぜ、英語表記に違いがあるのか。案内標識の英語表記を決める際に基準として使われている「地名等の英語表記規定」(2016年3月、国土地理院)で調べてみた。
まず、「〇〇 bashi」表記の新橋と飯田橋。それぞれ港区新橋、千代田区飯田橋という地名(固有名詞)なので、Bridgeではなくそのまま「Shinbashi」 、「Iidabashi」と表記される。
これについては、「地名等の英語表記規定」で、「大字及び字は表音のローマ字のみを表記するもの」と定められている。※大字(おおあざ)、字(あざ)はともに、市区町村内の区画名を指す。
続いて、「〇〇 Bridge」表記の永代橋と神田橋。こちらは地名ではなく、川にかかる橋の名前なので、神田橋が「Kanda Bridge」、永代橋が「Eitai Bridge」となる。
こちらについても、「地名等の英語表記規定」の中に、「橋名の英語表記は、置換方式によるものとする」という項目が。そこには「『橋』又は『ブリッジ』は Bridge と表記する」と明記されている。
では、最も気になる「二重橋(Nijubashi Bridge)」は?
こちらは、同規定の「居住地名や駅名、観光名所として名称全体が一体化しているもの」にあたる。二重橋をローマ字表記にしたうえでBridgeも付ける「追加方式」と呼ばれる方法だ。
これは、同様の例に当てはまる「日本橋」(地名ではなく、橋の方)で考えるとわかりやすい。
つまり、日本橋を「Nihon Bridge」と表記しないのと同様に、二重橋もNiju Bridgeではなく「Nijubashi Bridge」と表記するということだ。
このように、「橋」の表記がバラバラになっているのは、決して間違いではないのだ。
まさかの誤植発見...?
しかし投稿者のhito_horobeさんは一つ気になる点を指摘する。投稿で紹介した標識にある「Nijyubashi Bridge」という表記だ。
国土地理院の資料では「二重橋」が「Ni(ju)bashi Bridge」となっているのに対し、先ほど紹介した案内標識の表記は「Ni(jyu)bashi Bridge」に。ローマ字表記はヘボン式によっているので、「ju」が正しいはずだが...。
Jタウンネットは7月31日、東京都建設局道路管理部の担当者に聞いてみた。
担当者によれば、hito_horobeさんが紹介した新橋、永代橋、二重橋の標識は16年に取り換えたもの。取り換える以前から「jyu」となっていたが、その理由は分からないという。
担当者は国土地理院の資料が「Nijubashi Bridge」になっていることを認めたうえで、「今後案内標識を更新する際は『ju』にするかと思います」としている。