えっ、本州の人は知らないの...? 九州人が愛するカップ麺「マルタイ 長崎ちゃんぽん」の魅力とは
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第三十四回 マルタイ「長崎ちゃんぽん」 文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。「ご当地カップ麺」をレビューする連載の第三十四回目となる今回は、九州で愛されているカップ麺、マルタイの「長崎ちゃんぽん」をご紹介します。
マルタイ「長崎ちゃんぽん」は九州の定番カップ麺
マルタイ「長崎ちゃんぽん」は、九州の定番カップ麺です。以前紹介したサンポー食品「焼豚ラーメン」と並び、九州のコンビニやスーパーなどどこへ行っても店頭に並んでいるのを見かける商品です。
九州から別の場所へ引越しをした際に、「焼豚ラーメン」や「長崎ちゃんぽん」が売っていなくて狼狽えるというのは、九州人のあるあるのひとつです。
発売開始されたのは1976年で、なんと40年以上の歴史を誇るロングセラー商品。長崎ちゃんぽんのカップ麺は現在では数多く発売されていますが、マルタイが元祖で、「焼豚ラーメン」よりも2年早く生まれています。
マルタイは、棒ラーメン「マルタイラーメン」や、パリパリ油揚げ麺の「長崎皿うどん」でおなじみの、九州の即席麺メーカーです。棒ラーメンは全国的に店頭に並んでおり、皿うどんも九州以外でも見かけることがあるかもしれません。
一方で、カップ麺や袋麺のラインナップも充実していますが、これらは現在サンヨー食品に製造を委託しており、今回の商品も、サンヨー食品系の太平食品工業が製造を担当しています。
内容物を確認
フタを開けると入っているのは3袋。最近のカップ麺は液体スープのものが多くなっていますが、この商品は粉末スープと調味油の組み合わせ。「焼豚ラーメン」と同じくクラシックスタイルです。
スープ粉末はかなりたくさん入っています。なかなか濃そうです。長崎ちゃんぽんらしくキャベツを中心に野菜類が入っていて彩り豊かですが、ちゃんぽんによく入っているもやしはありません。海鮮系の具も入っていませんでした。麺はちゃんぽん麺らしく太めに見えます。
スパイスの強いちゃんぽんスープ
スープは、豚骨系のベースにイカの風味がほんのり香るちゃんぽん味です。魚介より豚骨の方が強い印象。長崎ちゃんぽんにはあっさりしているものからこってりしているものまでいろいろありますが、このスープは濃厚でパンチがあります。
胡椒を強く効かせていることでパンチをつけており、今回のスープの最も大きな特徴だと感じました。決め手は胡椒!なんて書いちゃうとチープな印象を持たれてしまうかもしれませんが、ある程度の濃厚さに加えて、多少チープな部分も魅力なのではないかと思います。
別添の「調味油」を加えることで、スープ粉末だと足りない油のこってり感が味わえるようになります。また、油を入れることで調理感が出て、野菜を炒めたような雰囲気を感じ取ることができました。
ちゃんぽん麺らしい太麺
麺は、ちゃんぽん麺に寄せた太い油揚げ麺です。食感が失われがちな油揚げ麺の割にはしっかりした弾力があり、噛み応えはちゃんぽん麺らしさがあります。ちょっと縮れているところは違うものの、太い丸麺というのも本物に近いものがありました。
これだけ太い油揚げ麺だと、本来なら特有の揚げた匂いが目立ってしまい、スープの味を邪魔しかねないところですが、ここで活きてくるのがスープの強い胡椒。
胡椒の香りが油揚げ麺の匂いをうまく抑え込んでいました。今回は胡椒が色々と偉大な働きをしています。
彩りの良い具の組み合わせ
具は、キャベツ、コーン、ニンジンといった野菜に、ピンクのかまぼこが入っていて、長崎ちゃんぽんらしい存在が並んでいます。彩り豊かで賑やか。最もたくさん入っているのはキャベツですが、具だくさんなイメージのある長崎ちゃんぽんとしては、全体的に少なめです。
また、エビやイカなどの海鮮系や、肉も入っていません。以前は野菜の量がもっと多かった上に、シーフードヌードルに入っているようなイカも入っていたので、年月を経る中で少しずつコストカットが図られているようです。
チープさも魅力
九州で愛され続ける元祖長崎ちゃんぽんカップ麺。現在では食感の良いノンフライ麺や国産野菜を使った、もっと本格的な長崎ちゃんぽんのカップ麺も出ていますが、胡椒押しでちょっとチープなカップ麺らしさが、この商品の大きな魅力だと思います。
九州は、マルタイ、サンポー食品、五木食品など、地場の即席麺メーカーが多く、ご当地カップ麺ファンとしては宝の山です。これまでにも九州のカップ麺を多く紹介してきましたが、まだまだクセのある逸品があるので、機会があればご紹介できればと思います。