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このクマは「人間に母親を殺されました」 旭山動物園の「重い」解説文に反響...なぜ?飼育員の思いを聞いた

笹木 萌

笹木 萌

2020.07.11 08:00
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制作者「自分の意図や思いが伝わっている」

とんこの説明書きを紹介したのは、ツイッターユーザーの空白寺(@vanity_temple)さん。2020年7月8日に写真を投稿したところ、10日夕時点で1万6000件以上リツイートされている。

他のユーザーからは、

「『人間に殺された』としつつも感情的なことではなく大事なことを伝えようとしている・・。このような掲示が増え、より多くの人に注目されると良いなと感じます」
「大事なこと、書いてある。可愛いだけではない」
「どちらかが悪いわけではない......でもそれぞれの距離感を大切にしていける注意、環境作りを大事にしたいですね」

といった声が寄せられている。

なぜこのような掲示をしたのか。

Jタウンネットは7月10日、旭山動物園の広報担当を通じて、これを制作したもうじゅう館の飼育担当者に話を聞いた。

広報担当者によれば、旭山動物園では1997年から、各動物の飼育担当による「手書き看板」を積極的に取り入れている。今回話題になったのも、その一つ。掲示し始めたのは17年4月29日の夏期開園からだ。

飼育担当者はこの看板を制作した経緯について、

「もうじゅう館の飼育担当となった際に、先輩職員からとんこの話を聞きました。自分自身も看板の内容について深く考えるきっかけとなったことから、来園されるお客様にも少しでも同じように感じていただければと思い制作しました」

と話す。

看板に対する意見を直接聞くことは少ないが、真剣に説明を読む来園者はいるとのこと。そんな時、担当者は「自分の意図や思いが伝わっている」と感じているそうだ。

エゾヒグマ「とんこ」(画像は空白寺@vanity_templeさん提供)
エゾヒグマ「とんこ」(画像は空白寺@vanity_templeさん提供)

広報担当者は「手書き看板」を設置している理由について、

「手書きだからこそ思いが伝わり、多くの人が足を止めてくれます。また、内容の修正も気軽に行えることから、タイムリーな情報をお伝えできます」

と説明する。たしかに、パソコンで印刷した文字よりも書き手の存在を感じられ、身近な問題だと認識しやすいかもしれない。

投稿が話題になったことについては、

「ネットを通じて多くの方に広く知ってもらえることはうれしい限りです」(飼育担当者)

単なる説明に留まらない、動物園の掲示は奥が深い。今一度目を向けてみたいものだ。

(7月11日12時20分追記)記事初出時、タイトルに一部誤りがありましたので、修正しました。

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