限定御朱印の授与「しばらく止めます」 メルカリ転売で苦渋の決断...宮司の思いを聞いた
「雨の日御朱印がフリマアプリに出品されましたのでしばらく授与をお止めします」
「神農さん」として親しまれる、大阪市の少彦名(すくなひこな)神社が2020年6月28日、公式ツイッターでこんな報告をした。投稿には、フリマアプリ「メルカリ」のスクリーンショットが添えられている。
画像を見ると、少彦名神社の境内で雨が降っている時限定でもらえる「雨ふり御朱印」(初穂料300円)が、1400円で出品されている。
御朱印集めが数年前からブームとなってから、フリマアプリでの転売はこれまでにも問題となってきた。少彦名神社は「以前から見つけた場合はお止めすると申し上げておりました」とも伝えており、転売を警戒していたことが伺える。
この報告にツイッターでは、
「売る方も買う方も神経がわかりません」
「たった1人の心ない行いのせいで、迷惑している人が何人いることか...。罰当たりな行為は本当にやめて欲しいです」
「毎月の雨の日の為に御朱印を頂きたかったのに 転売のせいで授与出来なり、非常に残念です」
といった声が寄せられている。
他の御朱印も複数出品
Jタウンネットは29日、少彦名神社の宮司・別所賢一さん(47)に詳しい話を聞いた。
別所さんは28日午前、参拝者から雨ふり御朱印がフリマアプリに出品されていることを聞き、出品が確認できたため同日から授与を停止した。
少彦名神社では神事ごとの限定御朱印含め、複数の御朱印を授与している。Jタウンネットが29日に検索したところ、同神社の御朱印が複数出品され、すでに売れているものもあった。
なぜ雨ふり御朱印のみを授与停止としたのか。別所さんはその理由を次のように話す。
「雨の日に楽しくご参拝いただくと同時に、足元悪い中ようこそお参りいただきましたという御印で出しております。他の限定御朱印もヤフオク!等で出品されているのは知っているのですが、特にご苦労されてお参りされていることから、しばらく授与をお止めすることにいたしました」
雨ふり御朱印は3年前から授与を開始。別所さん夫婦が手彫りで制作した、和傘を持ったネズミの印が押してあり、毎月色が変わるのが特徴だ。特にこの御朱印に関しては、転売をしないよう何度かツイッターで呼び掛けてきたが、このような事態となってしまった。
雨ふり御朱印に限らず、少彦名神社では御朱印の出品を1年以上前から把握していた。今回、授与停止を決めたのには「(転売が)だんたんひどくなってきた」という理由もあったという。
御朱印転売、対策は?
別所さんは雨ふり御朱印が出品されたことに対し、
「お参りした証ですので、ご参拝いただいてお受けいただきたいと思います。これはどこの社寺さんも同じだと思います。お参りせずして御朱印を頂いても、やはり意味がないんじゃないかと思います」
としている。雨ふり御朱印には「恵みの雨」「清めの雨」という意味が込められているとのことだ。
ツイッターでは、転売対策として御朱印帳に直接書く「直書き」のみにするといった方法も提案されている。
しかし別所さんによれば、待ち時間が増える、対応しきれない場合が出てくる可能性があることから、すべての御朱印を直書きにするのは難しいとのこと。「名前を書く」という案もあるが、出品する際に消されてしまうため、対策のしようがないようだ。
雨ふり御朱印の授与再開日は未定。別所さんは投稿が話題となったことについて、
「こんなに反響があるとは思っていませんでした。できましたら当社以外の社寺さんも、そういうこと(転売)があると思うので、今後ないようにしていただきたいです」
と話している。