まるでゲームのバグ 船の位置がおかしい海の様子が話題に→なぜこうなった?専門家に聞くと...
「空飛ぶ船」がツイッターで注目を集めている。
さっそく写真をご覧いただこう。
こちらは、ツイッターユーザーのもりや(@moriya0108)さんが投稿した写真。2020年6月9日に、道の駅「夢灯台」(大阪府泉南郡)で撮影したものだという。
写真の奥に広がるのは青い海は大阪湾。その上に、巨大な船と、それよりは小さな船が2隻並んで宙に浮いているように見える。
Jタウンネット編集部がもりやさんに詳細を尋ねたところ、夢灯台へは東大阪から白浜への道の途中で、仮眠のために立ち寄ったという。
深夜1時過ぎに到着し、車中泊。朝8時半過ぎに起き、施設内のトイレを使用しているときに窓の外にこの光景を見て
「何か船浮いてる気がするけど...まだ俺寝ぼけてんのかな...」
と思ったそうだ。
もりやさんのツイートは10日夕現在、4万件以上のリツイートと約19万7000件のいいねを集め、
「神話の空飛ぶ船はこんな風景から生まれたんやなって」
「この地球、実は稀にオブジェクトが変な位置に生成されるバグがあるんですよ。早くアプデが来るといいですね」
「ロードが間に合ってないゲームやん」
などの反応が寄せられている。また、多くのユーザーから「蜃気楼」あるいは「浮島現象」(下位蜃気楼)であるとする声も上がっている。
しかし、他の蜃気楼の写真と比較すると船の形がかなりはっきりしている。
実際のところ、これはどういった現象なのだろう。Jタウンネット編集部は大阪市立科学館で蜃気楼などの研究を行う長谷川能三(はせがわ・よしみ)学芸員を取材した。
蜃気楼ではなかった
結論から言えば、もりやさんが投稿した写真は蜃気楼を捉えたものではなかった。
長谷川さんに写真を見てもらうと、
「よくこういう現象が蜃気楼と勘違いされることが多いんですが、蜃気楼は形が変形して見える現象で、写真ではそういうのは見当たらないので蜃気楼ではないですね」
とのこと。船が浮いて見える理由は、
「船が見えているより手前側の濃い部分のみが海だと思われると船が浮いてるように見えるんですが、実は船があるあたりも海で、色がやたら薄く見えているだけだと思われます」(長谷川さん)
長谷川さんによると、実際の水平線は写真中央の大きなタンカーの甲板があるあたり。同じくらいの高さに白い点がいくつか映っているが、それは遠くに浮かぶ船だそう。左側の小さな点の上で、写真の色味が若干変わっていることから、その場所が水平線だと考えられるという。
なぜ海の途中で色が変わっているのだろうか。長谷川さんに聞いてみると、
「潮目と言いまして、あるところを境に海の色がかなり変わって見えることがあるんですね。空の透明度だとか、海の波立ち具合とか、潮の流れとか、いろんなことで影響されるんですけれど、こういう風に水平線が分かりにくくなるというのは時々ある現象です」
とのこと。
蜃気楼ではなかったが、この現象もかなり不思議な光景だ。