「在庫2トン。このままだと処分です」→即完売 コロナで苦しむ農家、SNSで救った24歳の思い
緊急事態宣言で生まれたフードロス、どうすればいい?
まず電話で答えてくれたのは、東京都文京区根津で野菜卸売と八百屋を営む、八百屋菜根(さいこん)たんの三浦大輝さんだ。
「フードロスを削減したいという思いで始めた野菜セットの販売は、今回が第2弾でした。千葉県印西市の柴海農園さんや他の農家さんと協力して、こだわり野菜セットをつくり、豊洲市場の通販サイトで売り出したところ、開始約10分で200箱が完売しました」
野菜セットの中身は、ニンジン1キロ、カラフル大根2種類、紫ニンジン300グラム、肉厚ちぢみほうれん草300グラムの他、玉ねぎ、里芋、ルッコラなど、これが2160円(税込)だ。完売した野菜セットは4月17日に発送したという。
「緊急事態宣言によって、百貨店や飲食店が休業を決めたことで、大量のフードロスが発生しています」と三浦さん。「大田市場や豊洲市場で聞いた話では、売り上げは30%、40%も下がっているそうですよ」。
そこでツイッターで「大量のフードロス発生」と「フードロス解消」を呼びかけたところ、大きな反響があったのだ。
デパ地下、スーパーなどでは人が混雑することから、クラスターの心配もささやかれている。その点、宅配ならコロナ感染の危険は避けられるかもしれない。三浦さんは、野菜セットのネット通販の可能性に着目している。
「この販売をとおして、数多くの人からコメントをいただきました。また北海道の農家さんからはジャガイモ、タマネギの在庫を30トン抱えていると、新たなフードロスの課題も舞い込んでいます。早速、次の野菜セットの企画に挑戦したいと思っています」と、三浦さんは意気込みを語ってくれた。
次に話を聞いたのは、千葉県印西市の生産者・柴海農園の柴海祐也さんだ。
「うちは約10年ほど前から、有機農法の野菜に特化してきた農家です。それなりに付加価値の高い野菜を、飲食店向け販売、宅配、加工品製造などに提供してきました。
ところが緊急事態宣言後、多くの飲食店が休業してしまい、注文が大幅に減ってしまいました。このままではフードロスとして、廃棄処分しなければならないと、三浦さんに相談したわけです。
三浦さんは野菜セット第1弾を販売された実績もあり、素早く第2弾として、うちの野菜をこだわり野菜セットとして販売してくれました。SNSで呼びかけてくださったおかげだと思います」
柴海さんは直営の通販サイトも運営しているが、豊洲市場の通販サイトでの成果は、早くて大きかったようだ。「葉物野菜は鮮度が命ですから、スピード感が重要なんですよ。三浦さんが即断即決で、完売してくれたことには、感謝しかありません」と柴海さん。
ちなみに今回のフードロス解消の仕掛人、三浦大輝さんは24歳だという。新型コロナウイルスの影響で生じたフードロス問題に、SNSを駆使した宅配野菜販売で立ち向かう。ここから新しい動きが生まれるかもしれない。