コロナ対策で喫煙所封鎖→吸い殻だらけに 新小岩駅前の惨状、区の見解を聞くと...
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、東京都葛飾区は2020年4月10日から、駅周辺の区指定喫煙所を封鎖している。
その影響で浮上しているのが、喫煙者のマナー問題だ。
灰皿が封鎖されていても、喫煙者たちはその周辺でいつも通りタバコをスパスパ。吸い殻のポイ捨ても相次いでいて...。
こちらはJタウンネット編集部が15日の21時頃に撮影したもの。場所は、JR新小岩駅南口の改札を出てすぐの広場にある喫煙所だ。
喫煙所付近には、2〜3人程度の喫煙者。しかし、灰皿の隣には両手では数え切れないほどの吸い殻と、飲みかけのお酒が3本ほど捨てられていた。はっきり言って、ひどい状態である。
閉鎖案内ポスターに効力なし
新小岩では、商店街やパチンコ店など営業を自粛しているところも多く、人通りは平時より少なくなっている。駅南口の喫煙所も、新型コロナウイルスが流行する前であれば、ビジネスマンやご老人たちでごった返していたものだ。
不要不急の外出を控える人が多いのだろうが、それでもここでタバコを吸う人は一定数いる様子。筆者が吸い殻のポイ捨てを最初に発見したのは、昼下がりの13時頃だ。
「禁煙」「ポイ捨て禁止!」のポスターに効力はない。吸い殻の隣には、ガムテープで封鎖された灰皿が設置されていた。
「喫煙所閉鎖のお知らせ」とした貼り紙には、
「このたび、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、4月10日(金)10時から当面の間、喫煙所を閉鎖することにいたしました」
と灰を落とす場所を覆う形で、喫煙所を閉鎖する案内文が表示されている。設置された2つの灰皿に4枚の張り紙。かなりわかりやすく告知している印象だが、それでも止まらないポイ捨て...。
Jタウンネットは、喫煙所を管理する葛飾区に、こうした状況に対する受け止めと対策を聞いてみることにした。
新小岩南口だけポイ捨てがとくに酷い!
16日、Jタウンネットの取材に応じたのは葛飾区地域振興課の担当者だ。
緊急事態宣言を受けた対策の1つとして、駅周辺の区指定喫煙場所の閉鎖に踏み切ったという。
その場所は全部で下記の8箇所だ。
・新小岩駅南口
・新小岩駅北口(東北広場)
・金町駅南口
・金町駅北口
・亀有駅南口
・京成立石駅
・お花茶屋駅
・堀切菖蒲園駅
葛飾区が、駅周辺の喫煙禁止区域内で喫煙ができる場所としている箇所である。
これらの指定喫煙場所(新小岩駅南口を除く)は、パーテーション(立石は植栽のプランター)で区切られ、広さ15平方メートル程度の空間だという。密閉空間ではないものの、感染拡大要因の3密のうち、密集、密接が起きやすい場所であるため、一時閉鎖へ。
葛飾区の指定喫煙場所のほとんどは間切りが設置されていて、閉鎖後は侵入できないようにしている。
しかし、である。新小岩南口だけパーテーションが設置できていないという。その理由について、
「物理的に設置が不可能」
だと担当者は話す。20年内には設置予定だというが、今のところ、地面にテープを貼って喫煙エリアを示すことしかできないそうだ。
黒色と薄い赤色で示されたテープ内が、喫煙OKのエリアで、間切りの代わりだ。受動喫煙を防ぐといった役割を果たしているかといわれれば、NOである(テープ外は、そもそも喫煙禁止区域)。
封鎖後もタバコを吸う人が相次ぎ、ポイ捨ても止まらない現状について
「一時閉鎖する際に、一番懸念したことは、やはり閉鎖した喫煙場所周辺での喫煙とポイ捨てです。喫煙所周辺に貼り紙をするなどの対応をしたのですが、翌日職員が見回りをした際、やはりポイ捨てが多く、特に、新小岩駅南口は、区指定喫煙場所としての認知度も高く利用者も多いので、ポイ捨てが酷い状況でした。
現在、見回りの際に職員が吸い殻やペットボトルなどのごみを回収したり、ご近所の方がご厚意で片づけていただいておりますが、閉鎖期間中の喫煙所周りの清掃を、毎日1回実施するよう業者に委託するため早急に準備を進めております」
と話した。
ちなみに一時閉鎖とはいえ、間切りの内側で吸うこと自体は条例違反ではないそうだ。あくまで喫煙所が閉鎖されただけのことなので、ポイ捨てさえしなければルール・マナーともに問題ない、とも言えるわけだ。
だからといって、現在の状況がベストとは決して言えないが...。
区の担当者は、喫煙所の一時閉鎖についてこうも話していた。
「喫煙場所を閉鎖することについては、ルールを守って喫煙していただいている方には大変申し訳ないと思っております。
ですが、このような状況下において、何よりも感染拡大を防ぐことが最優先でありますので、やむを得ず喫煙場所を一時閉鎖にしたことをご理解いただき、喫煙者の皆さんにもぜひともご協力いただければと思います」
このご時世だからこそ、区民一人一人の意識が求められるのかもしれない。