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「ハミゴ」もはや関西弁じゃない 全国の使用率、10年前と比べてみると...

Jタウン研究所

Jタウン研究所

2020.04.10 06:00
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関西では、仲間外れのことを「ハミゴ」という。はみ出した子という意味だ。

兵庫県出身の筆者としては、なじみ深い言葉だ。かなり軽いノリで使われることも多く、友人同士の会話でも頻出する。

例えば、5人で集まって会話をしている時。自分はiPhoneを使っているけれど、他の4人はアンドロイドを使っていることに気づく。そんな場合に、

「うわー、わたしハミゴやん!」
「ハミゴにせんとって〜!」

といった感じで使う。時には、「ゴ」を省略して、「うわー、わたしハミられてるやん!」「なんでハミったん?」と動詞として使うこともある。

関東の友人たちと話す時には同じような場面で「ハブる」が使われるので、「ハミゴ」は方言なんだろうな、と気づいてはいたが、実際のところどの辺りで使われている言葉なのだろう?

そこで、Jタウンネットでは2019年6月27日~20年4月6日の期間、「『ハミゴ』」という言葉の意味、知ってる?」をテーマにアンケートを実施。全国での認知度を調査した。

投票総数は1765票。はたして、その結果は――。

瀬戸内海あたりで広まっている

全国の結果を見ると、「聞いたことも使ったこともある」が55.8%、「使ったことはないが、聞いたこともあって意味も知っている」が13.3%。つまり、69.1%の読者が「ハミゴ」の意味を知っていた。

一方、「聞いたことはあるが、意味は知らなかった」は1.2%、「全く知らなかった」は29.6%で、意味を知らなかったのは全体の30.9%だった。

では、地域によって差はあるのか。

都道府県ごとに意味を知っている人の割合を出し、色分けした地図がこちらだ。

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見ての通りである。圧倒的に西日本で認知度が高く、特に近畿圏での知名度が圧倒的だ。千葉や埼玉でも認知度が高めなのが驚きだが、関西出身者が多く住んでいるのだろうか?

より詳細な結果を見てみよう。

近畿地方2府5県では、「知っている」率が94.5%。

しかも、京都(98.3%)、大阪(97.0%)、奈良(95.5%)、兵庫(95.2%)では95%以上、和歌山ではなんと100%が意味を理解しているという結果になった。

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「使ったこともある」人の割合が最も高いのも、もちろん近畿地方。

和歌山(94.1%)、大阪(88.6%)、兵庫(88.0%)、奈良(86.4%)、京都(78.9%)、滋賀(66.7%)、三重(58.8%)と、いずれも半数以上の人が「ハミゴ」を使用していた。

同じ近畿地方でも、西側(瀬戸内海側)の方が認知度・使用度が高いようだ。

近畿地方ほどではないが、中国地方・四国地方でも「ハミゴ」は通じるらしい。

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どちらも「知っている」率は8割以上。

特に徳島(100%)、香川(92.9%)、愛媛(92.3%)と四国の瀬戸内海に面する間での認知度が高い。使ったことがある人はそれぞれ、71.4%(徳島)、64.3%(香川)、76.9%(愛媛)だった。

高知で「ハミゴ」の意味がわかる人は68.8%、使ったことがある人は56.3%。全国的に見れば低くない数字だが、他の3県と比べるとガクッと落ちているように感じる。まさに「ハミゴ」状態だ。

中国地方では、山口(90.0%)で最も認知度が高く、岡山(88.5%)、鳥取(85.7%)、広島(77.5%)、島根(75.0%)と続く。使ったことがある人の割合が多いのは、鳥取(71.4%)、岡山(65.4%)、広島(57.5%)、山口(50.0%)、島根(50.0%)の順。

鳥取と岡山は兵庫県に隣接しているため、使用率も高めになっているのだろうか。

「ハミゴ」は広まってきている?

2009年の論文「『仲間外れ』を表わす方言の現状と伝播の様態--地域差・年齢差の観点から」(著・椙村知美)には、「ハミゴ」についてこんな記述がある。

「近畿地方の50歳代が学生時代に使用し始めたものが、大阪や兵庫を中心に近畿地方内に広がり、中国地方や四国地方など西に伝播していった。
東海地方や北陸地方に広がっていない。今でも中国地方の伝播は広島県の東部から西部にも広がりつつある。
また四国地方から海を渡り、九州地方の大分県でも使用が多く瀬戸内海を軸として伝播している」

椙村氏は、47都道府県で、老年層(60歳代以上)、中年層(40・50歳代)、若年層(20・30歳代)、少年層(10歳代)各10人以上に「ハミゴ」や「ハブ」など、仲間外れを示す語について聞き取り調査を行った。

その結果、「ハミゴ」を使う人のうち、最も年齢が高かったのが大阪府や兵庫県の50歳代だったという。およそ10年前の調査なので、今の60歳代だ。

「ハミゴ」発祥の地と考えられる大阪での使用状況を調べると、老年層には「ハミゴ」を使う人はいないが、中年層ではある程度の人が使用していたそう。若年層では50%以上、少年層では100%が「ハミゴ」を使っていたとのこと。

当時の中年層からは「昔使っていた」「中高生時代に使っていた」という声が聞かれたことから、この年代の人々が学生時代に使い始めた言葉が若者を中心に広まっていった、と考えられるそうだ。

10年前の段階では、東海・北陸には伝播しておらず、九州ではほとんど大分でしか使用されていなかった「ハミゴ」。

今回のJタウンネットの調査結果を見ると、少しずつだが、確実に勢力圏を拡大しているように思われる。

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東北や中部ではまだまだ知らない人の方が多いが、様々な場所から人が集まる関東地方では結構な認知度の高さ。これから徐々に全国での使用率を上げていくのだろうか。

「ハミゴ」の今後の活躍に期待したい。

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