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「あなたは香川県民ですか?」→YESと答えると... ゲームサイトの「条例対策」が皮肉効いてる

横田 絢

横田 絢

2020.04.04 08:00
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「2020/04/01より、香川県民の利用はお断りいたします」

3月31 日、あるウェブサイトにそんなメッセージが掲載された。

その翌日の4月1日は、「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」の施行日。ウェブサイト側がこの条例の一部を遵守できないため、香川県民のサイトの利用を「お断り」するという内容だ。

サイトのスクリーンショット
サイトのスクリーンショット

注意書きの下には、2つのリンクが貼られていおり、そのうちの「香川県民じゃないし、そんな条例知ったこっちゃないので利用します」を選ぶとサイトに入ることができる。

しかし、もう一つの

「香川県民なので条例を遵守するため当サイトを利用しません。(かがわけんみんなので、かがわけんのじょうれいをまもります)」

を選ぶと、その前に見ていたウェブページに戻ってしまう。

なぜこのような注意書きをトップページに掲載することになったのか。Jタウンネット編集部は2日、このサイトの管理者(@DoDontoF_Srv)を取材した。

香川県民も今まで通り遊べます

この注意書きが掲載されたのは、「どどんとふ公式鯖」というウェブサイト。TRPG(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム)をオンライン上で遊べるサービスを提供している。

TRPGとは、本来は対面で実施されるゲーム。2~6人程度で遊ぶもので、1人は進行役、他の人たちは登場人物として物語を作っていく。一回のプレイにつきかかる時間はまちまちだが、数時間かけて遊ぶものも多い。

「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」では、

「子どものネット・ゲーム依存症につながるようなコンピュータゲームの利用に当たっては、1日あたりの利用時間が60分まで(学校の休業日にあたっては、90分まで)の時間を上限とすること(中略)を目安とする」

とあるため、このウェブサイトの対応については「1時間じゃTRPGできないからねぇ」と理解を示すような声も上がっていた

サイトの管理者に注意書きを掲載した理由を尋ねると、

「条例そのものの問題やそれが可決されるまでのプロセスに大きな問題があると感じ、この条例の異常さ広く知ってもらうための問題提起としてこのような対応をいたしました。 実際には香川県の方も「知ったこっちゃない」を選択すれば今までと何も変わらず利用できますので、排斥するような意図はありません」
「あくまで(条例について)広く知って頂くという事と、条例を根拠にした訴訟やクレームに対して事前通告しているという事実を用意しただけですので、(香川県民でも)もちろん利用いただいて構いません」

とのこと。管理者によると、「どとんとふ公式鯖」は不特定多数のユーザーが登録なしで利用できるサイトで、一切の個人情報を収集していない。そのため、「利用者が香川県からの利用なのかどうか、未成年かどうか、依存症なのかどうかをチェックする手段を持たない」。

つまり、香川県に住む未成年がサイトにアクセスしても、管理者はそれを把握できないため、「そんな条例知ったこっちゃない」を選べばこれまで通りサービスを利用できる。

ちなみに、注意書きが掲載された当初は「利用しません」のリンクは別のウェブサイトにつながっていた。

「リリース当初は香川県民を選択すると『丸亀製麺』さんのサイトに飛ばすという皮肉をしていましたが、実際に抗議活動をしている香川県民の方からの抗議があったことや、丸亀製麺さんに迷惑をかけてしまうのも本意ではないので、単純に戻るだけにすぐに変更いたしました。これはちょっと悪ふざけがすぎたと思っています」

と管理者。丸亀製麺は讃岐うどんの店だが、兵庫県発祥。香川県民の中には、快く思わない人も多いと聞く。香川県民だと認めたら「丸亀製麺」に飛ばされる、というのはかなりの屈辱だろう。

条例を「遵守できず、今後遵守するつもりもない」理由は

管理者によると、利用者の属性をチェックする手段を持っていないことが、注意書きに書かれた「香川県の条例『ネット・ゲーム依存症対策条例』にある、『第七条および第十一条』を当サーバーは遵守できず、今後遵守するつもりもない」理由の一つだという。

第七条および第十一条というのは、「ネット・ゲーム依存症対策に関連する業務に従事する者の責務」「事業者の役割」に言及する条目。特に第11条には、

「インターネットを利用して情報を閲覧に供する事業又はコンピュータゲームのソフトウェアの開発、製造、提供等の事業を行うものは、その事業活動を行うにあたっては、県民のネット・ゲーム依存症の予防等に配慮するとともに、県又は市町が実施する県民のネット・ゲーム依存症対策に協力するものとする」

といった内容が記されている。しかし、「どどんとふ公式鯖」では、どんな属性の人がアクセスしてきているか把握できず、その中から香川県民だけを選んでサービスの内容を変えることはできない。そのため、県民のネット・ゲーム依存症対策に協力することは現状できない、ということだ。

加えて、今後この条例のために位置情報を取得するなどして利用者の属性を把握することも、「開発・維持するだけのスキルや時間的金銭的リソースもないことから現実的には不可能」だという。

上述の理由のほかに、この条目を遵守できない理由として、

「第七条および第十一条には具体的な対応方法が何も記載されて居らず、素案ではなく2020/4/1以降に施行される条例の本文に香川県のWebサイトからアクセスできないことから、具体的に何を対応すれば遵守になるのかがわからない」(編注=本文には3月24日発行の香川県報号外からアクセス可能)

と管理者は説明した。

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