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日本海軍「伊号潜水艦の潜望鏡」が東京駅に? 謎の柱の正体をJRに聞いた

横田 絢

横田 絢

2020.03.16 06:00
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東京駅に展示されている、ある円柱がツイッターで話題になっている。

@tarou_tarou_kunさんのツイートより
@tarou_tarou_kunさんのツイートより

こちらはツイッターユーザーの@tarou_tarou_kunさんが2020年3月2日に投稿した写真。JR東京駅の構内、丸の内南口改札から入って左側に展示されているものだという。

美しいとは言い難い、古びて赤茶けた柱が、なぜ注目を集めているのかというと、その中ほどに打ち付けられたプレートに答えがある。

「この柱は『グリル丸ノ内』の中2階を支える柱で、戦後東京駅及び東京ステーションホテル復旧工事の折、当時の材料不足等の理由から日本海軍の『伊号潜水艦の潜望鏡』を利用した柱である」

大日本帝国海軍は、潜水艦を重量で「伊」「呂」「波」にクラス分けしており、基準排水量1000トン以上の大型潜水艦が「伊号潜水艦」だ。その潜水艦の一部がホテルの柱として使用されていた、という説明に、

「潜望鏡って、丈夫なんだなあ」
「こういうのロマンがあって好き!」
「潜望鏡!!これはすごいなぁ~歴史を感じる!今度行ったら見に行かんと!」

など驚きの声が上がっている。

この柱はどういった経緯でホテルに使われ、駅に展示されることになったのか。Jタウンネット編集部は9日、JR東日本東京支社の広報課に詳細を聞いた。

潜望鏡である可能性は低い

広報課の担当者によると、この柱は15年10月2日から東京駅で展示されている。

1915年に開業した東京ステーションホテルは、45年、戦災により一時休館となった。復旧工事を行い、営業を再開したのが51年。担当者によると、展示されている円柱はこの工事の時に、ホテルの1階の柱として使われ始めたと考えられるそう。

「この復旧工事の図面には、当該柱について『ステンレススチールパイプ径150』との記載があり、現地の調査によって確認した寸法(径160ミリ)とほぼ同様であることが判明しました。したがって、柱は戦災から復旧工事の際に設置されたものと思われます」(担当者)

柱は、丸の内駅舎を創建時の外観を再現するために行われた保存・復原工事でホテルが休館する2006年まで、半世紀以上にわたってホテルを支え続けた。これが伊号潜水艦の潜望鏡であるとするプレートは、「1987年以降に設置されたと思われるが、詳細は不明です」。

気になるのは本当に「伊号潜水艦の潜望鏡」だったのかどうかだが、残念ながら、その可能性は低いことが調査によって明らかになっているという。東京駅での展示では、柱の脇にその旨を補足する案内板が設置されている。

なぜこのように言われ始めたのかも、詳細は分からないそう。ただ、

「東京ステーションホテルでは、戦災後の復旧の際、材料不足等から軍の廃材等を使う発想が活かされたと伝えられていました」

とのことだ。

東京駅で展示されるようになった経緯については、

「当時、構造部材としてあまり使用しなかったステンレス鋼管を使用していることから、潜望鏡ステンレス鋼管の製造元と何らかの関係があると思われること、
また、2006年にホテルが閉業するまでお客さまに長く親しまれた柱であることから、東京ステーションホテル100周年にあわせて展示し、駅の魅力を向上させることにしました」

と担当者。潜望鏡である可能性は低いが、全く関係がない、というわけでもないのかもしれない。

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