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まるで恋愛テーマパーク? 鳥取の山奥にピンクすぎる無人駅があった

笹木 萌

笹木 萌

2020.02.10 06:00
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「無人駅」と聞いてあなたは何をイメージするだろうか。利用客はおろか、駅員すらいない寂しい場所。薄暗く、廃れた駅...そんな風に想像する人もいることだろう。

しかしこちらの無人駅は一味違う。寂しさなど微塵も感じさせない、その姿がこちらだ。

鮮やか(画像は智頭急行公式サイトより)
鮮やか(画像は智頭急行公式サイトより)

木々の緑にショッキングピンクがまぶしい、その名も「恋山形駅」(鳥取県八頭郡智頭町)だ。駅の至る所にはハートマークが散りばめられ、とても山中にある無人駅には見えない。別の世界に迷い込んでしまったかのような錯覚を覚える。

なぜこのようなデザインになったのか。Jタウンネットは2020年1月31日、智頭急行を取材した。

最初からピンクではなかった。

異世界感ある(画像は智頭急行公式サイトより)
異世界感ある(画像は智頭急行公式サイトより)

そもそもなぜ「恋山形駅」という名前なのか。

総務企画課の担当者はその理由を次のように話す。

「当初『因幡山形』という駅名の予定でしたが、住民の要望により開業前に『恋山形』に変更しました。『恋』人を呼ぶ『来い』という意味と掛けています」

恋山形駅は1994年12月3日の智頭急行開業と同時に開駅。20年以上前の話ということもあり、住民からどのような要望があったか詳細は分からないとのことだ。

ただ、恋山形駅は開業当初からピンクの駅であったわけではない。今のデザインになる前の姿がこちらだ。

以前の恋山形駅(画像は智頭急行公式サイトより)
以前の恋山形駅(画像は智頭急行公式サイトより)

名前と全然マッチしてない...。現在の姿からは想像もつかないくらい物寂しい。

恋山形駅は13年6月9日、全国に向けた「恋の駅」としての話題提供や地域活性化を目指し、現在のデザインとなった。その背景には、「恋」が名前につく駅を持つ4つの鉄道会社が立ち上げた「恋駅プロジェクト」での取り組みや、智頭町の公民館で恋にちなんだ花「タマノカンザシ」を植える、「恋にちなんだ短歌・俳句」を募集するなどの活動を行ってきたことがある。

派手なデザインになった今も、公式サイトには「周辺にはお食事処はおろかお手洗いもありません」注意書きがある。周辺に何もないのは変わらないようだ。

1日の乗降者数は「平均6人」

恋山形駅のコンセプトは「恋が叶う駅」。駅には絵馬が用意され、願い事を書くことができる。また16年6月はハートマークが周りを飛び交う特徴的なデザインの「恋ポスト」を設置。投函された手紙やはがきは週に1度、智頭急行の社員が集荷し山形郵便局でハート型の消印を押して発送する。

このほか、坂道をピンク色で塗装した「恋ロード」や、智頭急行のオリジナルグッズを販売する自販機を設置した「恋の待愛(まちあい)室」など、恋にちなんだスポットが盛りだくさんだ。

ハートのくぼみに絵馬をはめて撮影(画像は智頭急行公式サイトより)
ハートのくぼみに絵馬をはめて撮影(画像は智頭急行公式サイトより)

投函できる「恋ポスト」(画像は智頭急行公式サイトより)
投函できる「恋ポスト」(画像は智頭急行公式サイトより)

無人とはいえこれだけインパクトのある駅なら、さぞ利用客も増えたのではないだろうか。そう思って担当者に聞いてみると、

「1日の乗降人員は、平均6人程度です。ここ最近は週末を中心にたくさんのお客様にお越しいただくようになりましたが、残念なことに皆さん車でいらっしゃるので列車から降りるお客様はほぼ変化していません」

とのこと。6人...。公式サイトには「駐車場のご用意も数台しかございませんので、なるべく普通列車をご利用ください」とあるので、車で行く際は気を付けたいところだ。

担当者によれば、土日は恋山形駅に長時間停車する列車もあるとのこと。成就させたい願いがある人は行ってみてはどうだろうか。

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