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ここは本当に牛丼屋なのか 日本一哲学的な「松屋」の入口がこちら

横田 絢

横田 絢

2020.02.01 08:00
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牛丼チェーン・松屋のキャッチフレーズといえば、「みんなの食卓でありたい。」だが、東京都中野区にある「松屋中野南口店」の看板にはこんな旗がぶら下がっている。

これは、ライターの野田せいぞ(@nodanosei)さんによる2020年1月30日のツイートだ。見慣れた黄色い看板の下に、白いバナー。飾り気のない黒い字で書かれているのは

「個々に秘められた可能性の扉」

牛めしにカレー、そして今話題のジョージア料理「シュクメルリ」......。松屋で提供される様々なメニューには消費者が未だ気付いていない可能性があるのかもしれない。そんな期待を抱かせる言葉だ。

投稿を見た人からは、

「松屋は可能性しかない!」
「松屋は確かにそうですね。昨日創業ビーフカレー食べたときもそう思いました」
「ビビン丼、リリースされた時の衝撃ったらiPhoneを手にしたとき以来よ」

など、このフレーズに納得する反応が寄せられ、「(松屋に)すごく行きたくなった」とするユーザーもいた。

果たして、この意味深なフレーズは何を示唆しているのか。

Jタウンネット編集部は31日、バナーの設置者を取材した。

全然関係なかった

取材に答えたのは、中野区の社会福祉法人・愛成会の法人企画事業部の担当者。そう、バナーを設置したのは、松屋ではないのだ。

担当者によると、このバナーは中野区内の商店街で開催中のイベント「NAKANO街中まるごと美術館!」の一環だ。

2010年から毎年開催されているイベントで、様々な「アール・ブリュット作品」を紹介しているという。アール・ブリュットとは、「専門的な美術教育を受けていない人々が、独自の発想と方法によって生み出す芸術作品」(イベントウェブサイトより)。

松屋中野南口店がある中野南口駅前商店街では、「看板ギャラリー」という展示が1月28日から行われており、国外でも評価されている25人の日本人作家による作品や、アール・ブリュットを表現するいくつかの言葉が、バナーの形で各店の看板にぶら下げられているそうだ。

要するに、「個々に秘められた可能性の扉」は松屋ではなく、アール・ブリュットを表現する言葉だった。

関係なかった...(写真は野田せいぞさん提供)
関係なかった...(写真は野田せいぞさん提供)

ダメ押しで担当者に、松屋の看板に現在のバナーが吊り下げられているのには何か理由があるのか聞いてみると、「偶然です」との答え。

つまり、松屋と「個々に秘められた可能性の扉」には何の関係もなかったわけだ。

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