「イカにエサをあげないで。養殖になるので」 魚屋の注意書きがセンスしかなかった
神奈川県小田原市の老舗さかなや「魚國」の公式アカウントから、2020年1月7日、次のようなツイートが投稿され、話題になっている。
— 小田原魚國 (@odawarauokuni) 2020年1月7日
店先に置かれた水槽には、獲れたてのヤリイカが泳いでいる。そこには「イカにエサをあげないで下さい」という注意が置かれている。しかも、こんな但し書きも添えられている。
「養殖になってしまいます」
天然もののヤリイカも、エサをあげると養殖ものになってしまうのだろうか? ツイッターには5万件を超える「いいね」が付けられて、拡散中だ。こんな声も寄せられている。
「イカした文句ですね」
「餌をあげちゃイカんのか」
「遺憾の意。イカだけに」
「座布団1枚です(笑)」
要するに、すっかり大喜利状態なのだ。
いったいなぜ、こんな注意書きを掲示したのか。Jタウンネット編集部は、電話で詳しい話を聞いてみた。
なぜ作った?店長に聞くと...
Jタウンネットの電話取材に、生きの良い答えを返してくれたのは、魚國商店鮮魚部の矢嶋寛店長だった。
「その日は雨が降っていて、お客さんの数もそれほど多くなくて、ちょっと手があいちゃったんですよ(笑)。
当店では、『魚國水族館』という試みをときどきやってまして、生きた魚を展示販売しているのですが、そんな感じにしてみようかと思ったわけです。
なかには、持っていたお菓子をエサとしてあげたいというお子さんもいるだろう......ということで、ほんの遊び心で(笑)、あんな注意書きをつくってみたのです」
矢嶋店長は毎日のように投稿しているが、これほど反響が大きかったのは初めてだという。
「魚國水族館」は、珍しい魚が入ったときに行うそうだが、過去にはホオジロザメを展示販売したケースもあり、反響が大きかったという。
「毎朝、小田原魚市場で、相模湾で水揚げされたばかりの生きの良い魚を仕入れているのですが、ときどき珍しいモノを入手することもあります。そんなときは、お客様へのサービスの意味も込めて『魚國水族館』を行い、相模湾の豊かな自然を知っていただければと考えております」
と、矢嶋店長は語る。
地元の海で獲れた珍しい魚を見て、知って、食べる。子どもたちにとっては、これほどの食育はないだろう。
「水族館」の延長で、ユーモアたっぷりな注意書きを掲示した魚國商店は、創業以来100年以上の老舗だ。鮮魚商の他に、小田原市内に飲食店2店を営んでいるという。
冒頭のツイートがいわゆるバズったことを受けて、矢嶋店長は次のようなツイートを投稿している。
拙者、魚國と申すは、お立ち合いのうちにご存知のお方もござりましょうが、創業1911年、相州小田原栄町にて鮮魚商を営んでおります。
— 小田原魚國 (@odawarauokuni) 2020年1月8日
何卒ご贔屓に?? pic.twitter.com/AGTkBwkns5