新大久保とは何もかも違う... 東京・小岩の片隅に存在する「小さなコリアンタウン」を歩く
1本400円の缶コーラ!?
南北で色の異なる小岩は、南口の「地蔵通り」付近には、スナックやキャバクラなど夜の店が密集している。土曜の昼下がり、降り立ったのは、JR小岩駅の北口だ。ここには「コリアンタウン」があるという話を聞いたことがある。
だが、まず目に入ったのは大きなイトーヨーカドーだった。行きかう人は、子連れの夫婦や若者も目に付く。ファミリー向けの場所なのだろうか。しかし、少し歩くと、タイ式マッサージ店や、「HOTEL」の看板が。
だが、肝心の韓国の匂いがまだしない。一体コリアンタウンはどこにあるのだろうか。こういう時は、地元の人に話を聞くのが一番だ。筆者は一服がてら、近くの大型パチンコ店へ。ちょうど休憩をしていた、小岩に住むおじいさんに、コリアンタウンの場所を聞いてみると、
「ここを出てすぐの、裏の通り(小岩中央通り)が噂のコリアンタウンだよ。正式ではないけどね。ちなみにBIG5っていう韓国のスーパーには、いいものがある」
と即返事。聞けば、コリアンタウンでマッコリを飲みながら「オモニ(韓国語で母)」の話をスナックで聞くのが楽しいと笑みを浮かべていた。半分酔い掛けの男性から、思わぬ情報。確かに「BIG5」はすぐ近くにあった。
店前の韓国尽くしに圧巻されながら、自動ドアを開けると、店内は見渡す限り韓国語。韓国人とみられる夫婦や子どもが、キムチや調味料を購入していた。
陳列棚にビッシリつまった袋詰めされた乾燥麺を、その場で破ってレジに持っていく行動には驚いたが、みな現地の味を求めて、ここに来るのだろう。
「このお店は30年くらい前にできた場所だよ。昔はコリアンタウンだったけど、今は...」
と店主は口を開く。
確かに土曜の昼下がりだというのに、通りには人が歩いていない。それでも客は一定数いるそうで、小岩に住んでいる韓国人が利用するという。さらに話を聞こうとしたが、日本人の親子がレジに。手に持っていたのは、BTS(防弾少年団)という韓国の男子K-POPグループのメンバーがあしらわれた缶コーラ。
「こっちのコーラは400円だよ。韓国限定のイベント品だから高いよ。大丈夫?」
と親子に話かける店主。どうやらファンだったそうで購入していた。なるほど、限定イベント品もそろえているのか...。
店内には、韓国で放送された新作ドラマのDVDも置かれ、若い日本人も多く購入するそうだ。
店の周囲には、いくつかの韓国料理店が並んでいて、確かにちょっとしたコリアンタウンのようだった。観光地化されているわけではないので、店主の言うように、人通りは少ない。
セマウル食堂は、新大久保にも店を出しているが、実は小岩が第一号店である。
マンナは、韓国おでんが楽しめる。サムギョプサルなど肉に飽きた人にはオススメかもしれない。
もしかすると、パチンコ店で一服していた男性は、このスナックに通っていたのだろうか...。小岩北口にポツンと存在する「噂のコリアンタウン」。新大久保とは全く別の雰囲気だった。
飲み会帰りに是非訪れてみてはどうだろうか。