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「元推し」のグッズ捨てられない人へ まだ見ぬ誰かに愛を引き継ぐ「燃やしたくないモノ入れ」が話題

横田 絢

横田 絢

2019.12.18 06:00
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制作メンバーの1人はアイドルオタク

取材に答えてくれたのは、ボックスの制作メンバーの1人。

こちらは、京都造形芸術大学での授業の一環で制作された「『燃やしたくないモノ』ボックス」。現在は同大学の瓜生山キャンパス(京都市左京区)ピロティのゴミ箱の隣に設置されているという。

「授業で『仕掛学』を用いて身の回りの問題を解決することに取り組んでいます。
私たちは 『家にある、捨てたいけど捨てられないモノ』 に焦点を当てました。
家にあるままだとただ眠っているだけだし、捨てるとゴミとなってしまう、そんなモノを次の誰かに受け継いでもらう方法を考えていました」

と制作者は話す。

「仕掛学」とは、「人の意識や行動を変える仕掛けの理論と効果を体系的に明らかにすることを目指す研究テーマ」(仕掛学研究会のホームページより)。つまり、「捨てたいけど捨てられないモノ」に対する人の意識や行動を変える、というのがボックスの目的だ。

「しかし、そのままではターゲットが広く、考えに詰まってしまいました。
そこで、さらにモノを 『手放したいけど手放せない推しのグッズ』 に絞ってみました。
ただ、ボックスを置くだけだとゴミが入れられてしまう可能性があると思い、あえてゴミ箱の横に設置しています。
そして『燃えるゴミ』『燃えないゴミ』にかけて『燃やしたくないモノ』というワードを思いつきました。隣のゴミ箱と同じ大きさにするためにサイズを測り、学内にある木工室で制作をしました」
隣のゴミ箱と同サイズ(作者提供)
隣のゴミ箱と同サイズ(作者提供)

確かに、隣のゴミ箱とほとんど同じ形で、投入口もしっかり再現されている。ボックスの上には「別れと出会いのノート」というアンケート用紙が設置されていて、グッズを置いていった人は「置いたモノ」と「元推しに別れの言葉」、取った人は「持っていったモノ」「出会った推しに挨拶」を記入し、投入口から入れることになっているそうだ。

「大好きだった人(人外も可)を、捨ててゴミにしてしまわず、誰か次の人に推してもらう、見つけてもらうことを目的としました。
さらに、このボックスに集まる人の中でのコミュニケーションや、誰かの手放した推しとそれを新しく見つける人との間のコミュニケーションが生まれることを願っています」(制作者)
元推しとのお別れ、新しい推しとの出会い(作者提供)
元推しとのお別れ、新しい推しとの出会い(作者提供)

設置場所での反響を聞くと、1日目には中のグッズの位置が変わる程度だったが、2日目には引き取られるものもあった。3日目にはほとんどが引き取られ、代わりに新しいグッズが置かれていたという。設置期限の12月24日までには、さらに多くの交流が生まれるかもしれない。

ツイッターで投稿されて話題になったことについては、「嬉しいです」と制作者。

「6人グループでの制作だったのですが、何度も話し合いを重ねてできた作品だったので話題になってくれて素直に嬉しいです。
それに加え、私自身アイドルオタクなので、自分が大好きだった人が次の誰かに見つけてもらえる機会を作れたこと、それを色々な所でやって欲しいと言っていただけたことはとても嬉しいし、この循環が続き、あわよくばほかの場所でもこのような場所が生まれればいいなと思っています」(制作者)

元推しのグッズを捨てると思うと罪悪感でいっぱいになってしまうが、「『燃やしたくないモノ』ボックス」なら、次に応援してくれる人に託すのだと考えられそうだ。

最後に別れの言葉をしたためるのは切ないが、今までありがとう、と伝えてから置いていくことで、良い思い出として心に残り続けるかもしれない。

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