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ブロッコリーの「白いアレ」は農薬じゃない! 野菜のプロが注意喚起「食べても全く問題ない」

横田 絢

横田 絢

2019.12.05 06:00
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スーパーで買った野菜や果物の表面に、「白い粉」が付いていた。そんな経験がある人は多いだろう。

中には、気持ち悪いな、と思ったことがある人もいるかもしれない。

2019年11月30日、植物、資材、食品の販売を行う園芸会社・国華園(大阪府和泉市)の公式ツイッターがこの「白い粉」について、ある動画を引用しながら注意喚起を行い、注目を集めた。

発端になった動画では、白っぽいブロッコリーに水をかけ、水をはじく様子を見せ、虫に食われないように、ワックスを付けていると説明。それを落とすためだとして、洗剤を薄めた水の中にブロッコリーを入れて洗っている。

国華園の公式ツイッターは、これが「間違った知識」だと指摘するツイートを引用しながら、「白い粉」は「ブルーム」という天然物質で、新鮮なものである証だと訴えた。

その後、このツイートにリプライする形で、

「こういう誤った知識が広まるのは本当に辞めて欲しいです......。消費者がブルームを嫌うので、ブルームが付きにくいキュウリなどが品種改良されたりしています」

とブルームについて説明するツイートを続けている。

ツイートを見た人からは

「農薬を意識してめっちゃ洗ってたから目からウロコですよ」
「子供の頃はよく知らなくて農薬?と勘違いしてました」
「スーパーの青果コーナーでパートしてます。年に数回は薬じゃない?と質問されますがちゃんと説明させていただいてます」

などの反応が寄せられた。「ブルーム」を人工の物質だと思っている人は少なくなさそうだ。

Jタウンネット編集部は、一連のツイートを投稿した国華園のツイッター担当者に、「ブルーム」について詳しく話を聞いた。

水をはじくブロッコリーは新鮮な証!

担当者によると、「ブルーム」とは植物自体が分泌する「保護バリア」のようなもので、販売されているさまざまな野菜・果物についている。

ブロッコリーや、キュウリやブドウ、カキ、リンゴといったツイートで例に挙げられたのは目に見えてわかりやすいもので、熟した野菜や果物はだいたいブルームを分泌しているそうだ。

ブロッコリーの「白いアレ」はブルーム
ブロッコリーの「白いアレ」はブルーム

「成分としてはパラフィン、蝋物質ですので人体には何の影響もありません。
蝋なので、基本的には水分の蒸発を防ぐんですよ。みずみずしさを失わないために分泌されています。
果物とかは成熟した後、過熟と言ってどんどん古くなっていくんですけど、そうなっていくのを遅らせる、マックスで良い状態を長く保とうとして出てくるものと考えてもらったらいいです」

と担当者。果実の場合、熟した状態で木に長く実ることで、動物に食べてもらい、種を次に伝えやすくなるそうだ。

また、水分を保つためだけではなく、菌などの侵入を防ぐ役割もあるという。例えば、ブロッコリーの場合、我々が食べるのは「つぼみ」の状態だ。花を咲かせ、種を残すまで自分の身を守れるように、ブルームを分泌しているとの話だ。

「日が経つとブルームは落ちていくので、水をはじくブロッコリーは新鮮であることの目安になります。害はないので、はじかなくなるまで洗う必要は全くないです。
むしろ、水をはじかないのは『どんだけ古いもん並べてるねん』っていうくらいのものですね」(担当者)

ただ、ブロッコリーはつぼみの隙間に小さな虫やゴミが入りやすいため、それらを落とすためには洗った方が良い。しばらく水に漬けてから、水と一緒にゴミを振り落とすときれいになるそうだ。その場合、房にわけてから洗った方が効果的だという。

「農薬みたい!」と嫌われるブルーム

ただ、食べ物の表面に「白い粉」が付いていることを、不快に思う消費者も多い、と担当者。ブルーム付きの果物や野菜は「農薬が付いているみたい」と嫌われることがあるという。

「粉吹いてるみたいで見た目がよろしくないので消費者の方に嫌われるんです。生産者さんはできるだけブルームを出さないように、ブルームを出さない育て方をしたり、ブルームを出さないように改良された品種を育てたりしています」

とのことだ。担当者に、粉が吹いているように見える農薬があるのか尋ねると、「全部の農薬を把握しているわけではないので断言はできませんが、ほぼないと思います」。

みかんなどの果物に、明らかに薬が乾いたような跡がある場合もあるが、それも殺虫のために使われたカルシウムの跡。食べても問題がないものだそうだ。

「まったく問題ないとはいえ、気持ち悪いので、口に入れたくない気持ちもわかります。
食べる直前に洗う分には何の問題もないですし、世の中には野菜を洗える洗剤もあるので、使うのは全然悪いことではないんですよ。それで気持ちよく食べていただけるのであれば、使っていただいたらいいと思います。
ただ、ブルームが『農薬』とか『ワックス』といわれると、それは違うよ、と」(担当者)

ツイートでも

「そもそも日本の法律で許可されてる農薬に、収穫後までやべーレベルで残るほど強烈なのはないと考えていいですよ......。回数や濃度など、本当に厳密に決められています。収穫の〇日前まで使用可なども決まっているので、農薬まみれの野菜や果物なんか、探す方が難しいと思います。

もちろん、野菜や果物を専用の洗剤で洗うのが悪いとは言いません。汚れが落ちやすいのは事実ですから。
ブドウは気軽には栽培できませんが、夏野菜のキュウリくらいならプランタでも育てられますし、一度、自分で育ててみたらいいんです。品種によりますが、無農薬で育ててもブルームつきますよ!」

と説明している。

鮮度を保つブルームを取らないよう、大事に丁寧に出荷を行う農家の存在を知る担当者は、動画の「ワックスを付けないと育たない」「農薬まみれ」という言葉に憤りを感じ、一連のツイートを投稿したそうだ。

ブルームが付いた状態で届けようと頑張っているのに...

担当者によると、ブルームは、野菜や果実にべったりとついている、というものではない。

「ブルームがしっかりついている、というのは収穫されてあまり時間がたっていなかったり、人の手に触れられていなかったりすることの証明になります」

と担当者。ブルームの存在が最もわかりやすいというブドウを例にして話してくれた。


「白い粉を吹いたみたいなブドウを見つけたら、『お、新しいんやな』と思ってもらえたら。
ブルームは、本当にちょっと触っただけですぐ落ちちゃうんです。風にさらされるなどでもちょっとずつ減っていくものです。輸送途中でももちろん落ちますし、パッキングするときに触っても落ちます。ブルームがしっかり付いたブドウは、ものすごく丁寧に扱われて店頭に並んだと思って間違いないです」

ブルームは簡単に取れてしまう(写真は国華園公式ツイッターより)
ブルームは簡単に取れてしまう(写真は国華園公式ツイッターより)

天然の保護バリアであるブルームが取れると、そこから水分が蒸発しやすくなり、劣化が早まるそうだ。だからこそ、ついているものを仕入れたいし売りたい、と担当者は訴える。

「ブルームが付いたまま消費者に届けるために、みんな頑張ってるんですよね。
農家さんも、出来るだけブルームを取らないように、大事に丁寧に出荷されているんですよ。
誤解されている方も結構いらっしゃったので、むしろ歓迎する状態だと知ってもらって、新鮮なものを選んで買っていただければ嬉しいです」(担当者)
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