あなたの「飼いたい」が動物を絶滅させる とある動物園に掲示されたメッセージが深い
飼育スタッフの思いを聞いた
メッセージの全文は以下の通りだ。
「ふわふわの毛や丸い瞳、太いしっぽなど、とてもかわいらしい姿や動きにマヌルネコを飼ってみたいと思った人も多いと思いますが、マヌルネコは『アメリカンショートヘア』や『マンチカン』といったイエネコの品種とは違います。野生のネコのなかまの一つの種です。
彼らは現在、地球上に15000頭ほどしかいないと考えられています。すみかも開発や環境破壊などにより分断されて生息数が減ってきているといわれています。
私たちが飼いたいと希望すれば、それに答えるために密猟により多くの野生のマヌルネコがとらえられることでしょう。そして彼らの絶滅への道が近づくことが容易に想像できます。
飼いたいほど大好きなマヌルネコが地球からいなくなってしまわないように、本物ではなく、写真や動画、記憶で皆さんのうちまで連れて帰ってあげてください。そして彼らを守るために何をしたらいいか、一緒に考えていきましょう」
こうした熱い思いにツイッターでは、
「マヌルネコちゃん、可愛いからなぁ。。でもその通り!!」
「これ書いた人の気持ちよくわかる。マヌルネコに限ったことじゃないよね。テレビや動物園で見て、かわいいだけで飼いたいに直結するのはあさはかすぎる。そんなあさはかなヒトの行為がどれだけ生き物達に迷惑かけてきたかな」
「なんか辛いというか、心が揺れるというか...こんなの分かってたけど、改めて地球のピンチを実感した」
などのコメントが寄せられている。
2019年8月29日、Jタウンネット編集部は埼玉県こども動物自然公園に質問状を送付。9月3日に担当の飼育スタッフの回答が書面で届いた。
17年ごろから設置しているというこの看板。まず設置の経緯について聞いた。生息地や絶滅の原因などに言及するのは珍しくないといい、こうした現状を伝えるのも動物園の役目。その上で、
「キーパーガイド(編注:飼育係が旬な動物の話をするイベント)などではしばしば話していますが、ガイドに参加できない来園者のみなさんにも伝えられないかと思い考えました」
また、ネコと付く名前などからイエネコと同様に考えてか「飼ってみたい」という声が多いように感じられたそうで、
「ここでは飼いたいと思った人に向けてのメッセージというかたちで看板を作成してみました」
と担当者。可愛らしい姿からは中々結びつかない厳しい現実。より多くの人に見てもらうのが大事だ。