「ツンデレ」風味のビールって何なの... 設定が難解すぎる群馬の地ビールが話題に
夏と言えばビール。暑い夏の夜、キンキンに冷やしたビールを流し込む瞬間は形容しがたい至上のひと時だ。
そんな言葉にならない喜びをポエム風に説明したビールが、手にした人から「マジで何を言っているのわからない」などと注目を集めている。
群馬県太田市の地ビールブランド「CHROA(クロア)」の新作ビール「CHROA TAMBOURINE(クロア・タンバリン)」だ。
クマのキャラクターがデザインされた可愛らしいラベル。だが、その裏には、
「弾けるタンバリンの如く襲いかかる酸味にマウントされ狂った果物たちが身勝手な高アルコールを雇い君を玩具にする自惚れた味。
薄れゆく意識の中、クマのマディに問われる
『お前は今幸せか?』
この液体は大人という生き方を耐える為の麻酔であり脳内改革を誘発する」
という謎の文章が。その独特すぎる世界感が、いまネット上で話題を呼んでいるのだ。
「おまえは今幸せか?」
このビールは、2019年6月26日に発売された新商品。公式サイトでは、
「柔らかな酸味 慎みのある苦み どこかキュートな感覚にガツンと7%高アルコールの*ツンデレビール*」
との紹介文が。どういうことなのかますますわからなくなる。
ラベルにデザインされているクマの名前は「マディ」。テディベアを憎み続け、好物はビールだそうだ。さらに、「嫌いな奴がいると夜通しその耳元でタンバリンを叩き続けひと言『おまえは今幸せか?』と言い放つ危険なクマ」というとんでもない設定だ。
クロアのプロデュースを務める片岡達也さんはJタウンネットの取材に、くまのマディの性格と新商品の魅力が一致していると説明する。
「この瓶を手にしたときラベルの主人公クマのマディは見た目可愛い感じですが、飲み口はキレキレだったり、柑橘系の香りや酸味、頭の中がピンク色に染まるような感覚に強めの炭酸と7%とビールにしては高アルコールでガツンとくる。まさにマディの性格ツンツンデレデレな感じです」
片岡さんはデザイナーとしても活躍している人物。今回の取材にもかなり独特な世界観を披露してくれた。話題となったラベルの説明文については、
「クマのマディに問われる『おまえは今幸せか?』。このビールはここにすべてが込められています。このストレス社会に生きるすべての大人たちにもういちど考えて欲しかったのです。答えが見えたとききっとタンバリンの音が聞こえるはずです」
と説明。なんだか哲学的だ...。
新商品開発にあたりこだわった点を聞くと、「今回は物語を表現したいと思いました」として、
「もともとこのクマのマディはぬいぐるみで持ち主の農家娘のジェニーという少女が(ラベルデザインに)描かれていました。マディは子供の頃からジェニーと一緒にいたのに、15歳の誕生日、ジェニーはテディベアに乗り換えたのです」
とマディの背景エピソードを説明。その後マディは持ち主により押入れの中にあるおもちゃと一緒に閉じ込められてしまった設定なのだそうだ。
「製作段階で私自身が描いたストーリーとは言え、ジェニーにムカついてきてはずしてしまいました。耳には安全ピン尻にはマチ針それは自分の傷口を癒すものではなく、攻撃するために備えているのです。このビールはクマのマディの涙です」(片岡さん)
自ら描いたストーリーに感情移入するところがあったとのことで、新商品のラベルにはマディだけが描かれるようになったそうだ。
新商品に限らず、公式サイトを見てもユニークな広告が目を引く。どういった世界観を表現しようとしているか改めて聞いてみると、
「私たちのクロアというビールは1本1本手作りのリアルクラフトです。ただのビールではなく物語を感じてほしいです。1冊本を読むのと同じ感覚で1本のクラフトビールを飲みながらそれぞれの物語を感じてそして自分というページを作って欲しいです」
とした。
7月3日の公式サイトの発表によると、注文が込み合っている関係で商品の発送に2週間ほどかかるという。サイトには「クマのマディに問われる『お前は今幸せか?』の問いに苦笑いをしてしまいます」とのスタッフの苦闘がうかがえる文言も掲載されている。