24時間いつでも「昆虫食」が買える! 誰得感がすさまじい自販機が都内に爆誕していた
「姿アリ」「姿ナシ」が選べる
高田馬場駅・早稲田口からすぐ、細い裏道のようなところに店を構える「米とサーカス」。昼間といえど雰囲気がある。自販機は表の分かりやすいところに設置されていた。
昆虫食は、600円、800円、1000円。買う勇気がなかった人向けか、「米とサーカス珍食材手ぬぐい」も販売されている。売り切れの商品もいくつかあり、一定数の購入者はいるようだ。
タガメ、ツムギアリ、オケラ... 名前だけなら楽しそうな、豊富な昆虫のラインアップだ。ものによっては「姿アリ」「姿ナシ」と親切に書かれているので、勇気の出ない人は姿ナシを選ぶこともできる。パッケージの絵だけでも十分気持ち悪いので、筆者は早くもここに来たことを後悔してしまった。
筆者はその中から、なぜかプレートがなく何の昆虫か分からないもの(1000円)と「ロースト クリケット(姿アリ/BBQ)」(800円)をチョイス。お金を入れるとドリンクのようにキンキンに冷えた昆虫食が、筒状のケースに入って出てきた。
出しやすくするためか、中には「おもり」が入っているが、持ち帰ってはいけない。ケースと共に回収ボックスに入れてほしいそうだ。
パッケージを取り出すと、プレートがなかったものは原産国がタイの「ワタリバッタ(塩味)」、「ロースト クリケット」は原産国がイギリスの「コオロギ(BBQ味)」であることが判明した。何か分からず買ったが、バッタで良かった...(良かったのか?)
会社に持ち帰って、さっそく開封してみる。まずはワタリバッタ(塩味)だ。期待通り、乾燥したバッタがワサッと入れられており、思わず脳内で「アアァァア」と声をあげてしまった。
裏面にはアレルギーについての記載がある。昆虫は甲殻類(エビ・カニ)に非常に近いので、アレルギーを持っている人は食べないようにとのことだ。
皿に出してみると、つぶらな瞳に羽のついたポディー。何かを訴えかけるように、こちらを見ている。虫は平気な方だが、これはやばいかも...。そう思いつつ、半目で口に入れると、サクッとした食感にほんのりとした苦みが口に広がった。悪くない。これだけだと味気ないが、酒の肴にちょうど良さそうだ。
怖いもの見たさか、周囲の編集部員たちも集まってきた。
嫌だ嫌だと言いつつ目を閉じて食したN記者は、「ウワアァァア」と声を上げてどこかに行ってしまった。これまで数多くの珍味を相手にしてきたO記者は、戸惑いながらも口に入れ「味薄いですね。まずいっす」と険しい表情。
残る後味が気に入らなかったらしく、ドリンクでかき消そうとしていた。
一方、お酒好きのK記者は、「コーヒーとかウイスキーに合うかも」とまんざらでもない様子だ。なんでも美味しく食べてしまうというA記者は「食感が軽くていいね。おいしい。『いかり豆』(乾燥させたソラマメを油で揚げたもの)みたいだ」と言いながら、次々にバッタを口に運んだ。筆者はいかり豆の味が分からないので何とも言えないが、好みが分かれる味のようだ。
続いて「ロースト クリケット(姿アリ/BBQ)」だ。こちらはよく見ないと「昆虫」と分からないため、視覚的には食べやすい。食感はサクサク、味も比較的馴染みのあるBBQ風味で、「バッタよりおいしい」「ご飯にかけたい」との声があがった。
しかしBBQの風味が強すぎるため、O記者とA記者からは「素材そのものの味が分からない」と厳しい指摘。筆者もピリッとしたBBQソースのような味しか感じられなかった。
とはいえA記者は「桜エビっていわれても分からないかも」とこちらも気に入った様子。バッタもコオロギも味に賛否はあるが、おかげで職場が明るくなったことには感謝したい。
味以前に、ビジュアルを受け入れることから始めないといけない昆虫食。初心者は「姿ナシ」や味付けがしっかりしたものからチャレンジするのが良いかもしれない。