刺激を求めて北九州市の「カンガルー王国」に行ったら、いろんな誤解が一気に解けた話
カンガルーの予想外の姿
東京から新幹線で約4時間30分かけて、北九州市の玄関口・小倉駅についた筆者。そこから車で若松区にあるひびき動物ワールドに向かった。最近になって、若戸大橋や若戸トンネルの通行が無料になったため、市街地からのアクセス性が向上したという。
現地に着いて初めて分かったが、ひびき動物ワールドは単独の施設ではない。
響灘緑地(グリーンパーク)という広大な公園施設のワンコーナーとして存在している。最近では、全長163メートルのブランコが世界最長のギネス記録を達成したことで話題を集めたばかり。ほかにも、バーベキューや乗馬体験も楽しめるレジャースポットだ。
さっそく、ひびき動物ワールドに入るとカンガルー広場の入り口を発見。ほかの動物もいるのか周囲を探したが、なんとオオカンガルーをはじめとする有袋類専門の動物園。約110頭のオオカンガルーが出迎えてくれるそう。これは、かなり刺激的だ。
だが、入場してすぐに覚えた違和感。刺激を期待していた筆者に面食らわせようとしているのか。時の流れがゆったりとして、木陰に何らかの生き物の集団がいる。武闘派の武の字もなく、どうもだらけている。
これがカンガルーなのか。武闘派のイメージはどこに行ってしまったのか。陰に集まり、ひたすら休むのを頑張っている。
飼育員の齊藤純子さんに話しかけられた。彼女によると、13時から中に入って直接触れ合えるとのこと。
人間が近づいても先ほどと変わらない。実のところ、武闘派のイメージは少し間違っているらしい。
基本的には臆病で繊細な性格だそうで、群れで生活をするという特徴があり、オスカンガルーには群れの中での序列関係がある。それぞれの順位を決めたり確認したりする際にはひと悶着あるようで、これがボクシングのイメージの元になっているらしい。
デリケートな割に人間を何とも思っていない。人の動きはお構いなしの様子だ。
人間が背中を触るのは可能だ。よほどのことがない限り、拒否されることはなさそうだ。本来なら人間も警戒対象であるが、子どもの頃から飼育員の方が積極的にコミュニケーションをとっているため、気にしない。
ただ、カンガルーのうち1頭でも驚いて逃げてしまう、人間に対して警戒心を抱くようになると、群れ全体から避けられる。そのため、来場者のマナーがあって、このふれあいコーナーが維持できている。
ただ、このままではあまりに画にならない。ほかの写真もほしいとお願いした。すると、立ち上がったり、袋の中の子どもを見せてくれたりなどのサービスもしてくれた。ありがとう、カンガルー。助かった。
ここまで1時間30分近く、ずっと付き添ってくれた齊藤さん。聞くと、京都の大学から飼育員の道に進んだ。一度ほかの土地に出てから再び北九州市に戻ってきたUターン就職者。なぜ、北九州の街に帰って来ようと思ったのか。