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琴電「日本最古の電車」引退へ 大正・昭和・平成・令和...4つの時代を駆け抜けた動く産業遺産

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2019.05.07 17:00
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香川県の高松琴平電鉄(琴電)は2019年5月5日、保有する戦前生まれのレトロ電車4両の「引退計画」を発表した。

新緑の中を快走する4両のレトロ電車。右から500号・300号・120号・23号。(lofter@ぱっしょんと?ぶ(@passiontobu8571)さんのツイートより)
新緑の中を快走する4両のレトロ電車。右から500号・300号・120号・23号。(lofter@ぱっしょんと?ぶ(@passiontobu8571)さんのツイートより)

動く博物館のようなレトロ電車が4両で走る光景もあとわずかに(T線痛勤⊿(@KHK1643)さんのツイートより)
動く博物館のようなレトロ電車が4両で走る光景もあとわずかに(T線痛勤⊿(@KHK1643)さんのツイートより)

引退が発表されたのは、23号・120号・300号・500号の4両のレトロ電車で、いずれも日本最古クラスのものだ。琴電では、4両を定期的に臨時列車として特別運行していた。産業遺産ともいえる列車だけに、ネット上では引退発表を惜しむ声が上がっている。

最古の電車は大正生まれ94歳

最も古い23号が1925(大正14)年に大阪鉄道(現在の近鉄)に導入された車両で、1961年に関西から四国の琴電に譲渡されてきた。車齢94年で営業線を走行する電車としては正真正銘日本最古である。

120号と300号は1926(大正15)年に琴電が導入し、500号も1928(昭和3)年に同社に導入された、生え抜きの車両だ。

1両目が現役最古の電車、大正生まれ車齢94年の23号(栗原岳さん撮影、Wikimedia Commonsより)
1両目が現役最古の電車、大正生まれ車齢94年の23号(栗原岳さん撮影、Wikimedia Commonsより)

車齢90年越えの電車が4両も現役であること自体が奇跡的ともいえ、120号・300号・500号の3両は近代化産業遺産の指定も受けている。

先頭の茶一色の電車が300号。リベットが突き出た車体や丸窓が戦前らしい造形である(栗原岳さん撮影、Wikimedia Commonsより)
先頭の茶一色の電車が300号。リベットが突き出た車体や丸窓が戦前らしい造形である(栗原岳さん撮影、Wikimedia Commonsより)

人気の高かったレトロ電車だが、5月5日の特別運行の車内で今後の引退計画が発表された。

まず最古の23号が2020年のゴールデンウィーク後にさよならイベントを行って廃車となり、500号も同年秋のシルバーウィーク後のイベントを最後に廃車される。120号と300号は21年のゴールデンウィークと、その後のさよならイベントをもって廃車となる計画だという。

引退理由について、琴電技術部の担当者は保守コストと人手不足、また複線化のための用地不足が理由だと答えた。他の車両も老朽化しており、限られた人員と修繕費で一般車両の保守を優先せざるを得ないこと、車庫のある仏生山駅周辺の複線化計画が進んでいるため、車庫にレトロ車両を保管するスペースが確保できないとのことだ。

廃車後300号だけが作業用・撮影用として保管されるが、他3両の保存予定はない。琴電によれば、社外から譲渡の申し出があれば譲渡も可能だが、基本的には3両は廃車後解体の方針であるという。

風光明媚な香川の山河の中を走るレトロ電車はとても絵になって、多くの撮り鉄がカメラに収めてきたが、あと2年で見納めとなる。ここまで長期に動態保存を続けた琴電への感謝と、レトロ電車をねぎらうツイートも多く投稿されている。

地方私鉄の電車なのでマニア以外にとっての知名度は高くないかもしれないが、車齢だけみれば例えばD51形(1936年製造開始)などの動態保存中の多くのSLよりも古い。

大正から令和まで4つの時代を現役で走りぬけた電車も時代と老朽化には勝てず引退するが、あと2年、最後まで無事に務めを終えてほしい。

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