高知県民のソウルフード「イタドリ」、知ってますか? 地元の野望は「全国に名高い特産物に」
他県民は「何ですか、これ?」
イタドリは、タデ科の多年生植物、北海道西部以南の日本、台湾、朝鮮半島、中国に分布する。全国各地で見られる、けっして珍しくない植物だ。山菜の一種として捉えている地域も多い。別名は、スカンポ、イタンポ、ドングイ、スッポン、ゴンパチ、エッタン、だんち、など。ただし、スイバをスカンポと呼ぶ地方もあるそうだ。
となると全国で食べられているようだが、なぜ高知県民はイタドリに関して、ことのほか熱心なのだろうか。Jタウンネット編集部は、高知に電話して、詳しく聞いてみることに......。
電話で答えてくれたのは、高知市地域本部の地域振興監・山脇深(ふかし)さんだ。
「イタドリは、子どものころから食べるものでした。春になると、タケノコ、そしてイタドリというのが当たり前という感じです。生でも食べれないことはないが、酸っぱいので、アクをとって、炒め物や漬物にして食べます。学校給食に出ることもありましたよ」と山脇さん。「他県民からは、『何ですか、これ?』と聞かれることが多いですが......」。
高知県民のイタドリ好きは、どうやら子どものころからの刷り込まれた習慣によるものらしい。学校給食にまでイタドリが出るとは、驚きだ。
「高知県では、休耕地の有効活用にこのイタドリが着目されています。また中山間地域の作物としても適しているので、全県でイタドリ栽培を支援しています。秋に収穫する作物は多いのですが、春に収穫できるものは意外に少ない。4月から5月が収穫時期であるイタドリは、農作物としてなかなか貴重なのです」
......というわけで、本来野生であるイタドリを人工的に栽培し、ビジネスとして成り立たせようという動きが活発化しているらしい。行政としても支援しているのだという。
イタドリを食べるには、まず下処理が肝心なようだ。皮をむき、調理しやすい大きさに切り、軽くゆでて、一晩水にさらす。ゆでて、水にさらして、塩を振る......といった手順を繰り返す、かなり手間がかかる作業だ。
下処理を済ませ、すっかりアクがとれた後、おひたし、漬物、和え物、天ぷら、煮付け、炒め物など、和洋中さまざまな料理に活用できるという。下は料理の例だ。
「ユズ、ショウガ、ミョウガなど、高知県産の農作物は全国に名高い存在ですが、イタドリもそれらに続く特産物に育てたい、というのが私たちの願いです。高知県内では充分に認知されているのですが、県外ではまだまだこれから。県外への業務用食材として流通ルートに乗るようになればいいのですが......。」
「とにかく食感が良いのですよ」と山脇さんの熱弁は続いた。「高知県民はなぜイタドリが好きなか?」、その熱意だけは分かったような気がする。