「こすい」は方言?それとも標準語? 都道府県別の使用率、調べてみたら...
「こすい」という言葉、一般に「ずるい」「せこい」の意味で使われる語だが、標準語のようでもあり、方言のようでもあり......。いったい、全国でどのように浸透しているのか。
Jタウンネットでは2019年1月7日から15日まで、「『こすい』の意味を知っていますか?」と題して読者アンケートを行った(総得票数4927票)。その結果は――
ほとんどの地域で過半数、九州は意外な結果に
さっそく、都道府県ごとの結果を見てみる。
こすいを「使ったことがある」と答えた人の割合が高かったのは、上から順に長崎・佐賀・和歌山・愛媛・熊本の5県。いずれも西日本、特に北部九州に集中している。他にも岐阜・福井・長野など中部地方でも80%越えの票を集めた県がある。
東日本でもそれなりの普及率を示しているものの、やや西日本に重心が置かれている結果が示された。
逆に、「こすい」を使ったことがあると答えた人が少なかったのは、東北・関東・そして宮崎・鹿児島・沖縄の3県だった。関東1都6県は栃木を除く全都県が70%未満、中でも千葉と神奈川で50%台にとどまった。東北・北海道でも70%以上を記録した府県はなかった。
一方、九州・沖縄では北部と南部でくっきりと結果が分かれることに。長崎・佐賀・福岡で高いが、南九州と沖縄では低い。一概に西日本偏重とも言えない?
ところで、こすいの意味を知らないという人は、どれくらいいるのだろう。
全国の投票結果をみると、選択肢「聞いたことも使ったこともある」が最多の70.5%というシェアを記録。続いて「使ったことはないが、聞いたことがあり意味も知っている」も2位で24.2%を記録した。
逆にこすいの意味を「全く知らなかった」は3.6%で、「聞いたことはあるが、意味は知らなかった」が1.7%。回答者の約95%がこの語の意味を知っていることになり、予想以上に浸透している言葉のようだ。
九州で使用率に差が出た理由は...
学術的な見解を探るべく、現代日本語方言大辞典(明治書院)をひも解くと、「ずるい」の方言としてのこすいは、千葉・岐阜・高知・佐賀・長崎・熊本などで用いられていたとのことだ。
佐賀・長崎・熊本で高い認知度だったのもうなずける。さらに鹿児島・沖縄まで行くと方言体系がより独立的になるため、北部ほど浸透してはいないようである。県境を1つ隔てただけで方言の違いもあらわになった形だ。
結論として、こすいは「基本的に東日本より西日本で浸透。また都市部より地方、特に中国四国・北部九州で高い」普及率を示していると推定できる結果となった。