大人は心から楽しめない? とんでもなく世知辛い「税金かるた」、制作者の狙いは...
お正月休みの間、久しぶりに「かるた」で遊んだ、という人もいるだろう。絵が描かれた取り札が一面に広げられ、読み札が読み上げられるやいなや、競って取り合う。単純なルールだが、けっこう盛り上がる。種類もさまざまだ。
いまSNSで話題騒然の「税金かるた」をご存知だろうか。「あ行から辛い」「見ているだけでキツイ」「もう笑うしかない」など、大反響だという。いったいどんな「かるた」だろう?
「辛すぎる」「怖い!!!!」「キッッツ」
話題になっているのは、東京法人会連合会が企画・制作した「法人会税金かるた」だ。思わずドキッとしたり、妙に納得したり、なんとも辛くなったり......と、大きな波紋を広げているのだ。
例えば、「い」の取り札には、温泉の露天風呂を楽しむ家族が描かれている。そして読み札には、「いい湯だな 入湯税のあたたかさ」と書かれており、こんな解説が......。
「入湯税とは、温泉に入るときにかかる税金です。温泉が出る地域の施設整備などに使われています」
次に、「う」の取り札には、ビールを飲む父親が描かれている。そして読み札には、「嬉しそう 酒税を納めるお父さん!」と書かれている。そして解説には......。
「酒税は、お酒を買うとその代金に含まれていますが、お酒の種類や原料によって税率が異なります」
なるほど、子供には税金の仕組みがよく分かる解説となっているのだが、大人にとってはだんだん辛くなる内容かもしれない。
「し」の取り札には、引っ越しで汗を流して働く人が描かれ、読み札には、「所得税 働く汗でできている」と書かれている。解説は......。
「所得税は、個人が1月1日~12月31日の1年間に得た所得に対して課税される税金です」
ツイッターには、「ヒッ...そこはかとなく怖い!!!!」「キッッツ」といった感想が寄せられ、「『所得税 流した涙でできている』じゃないでしょうか」という声も......。
「ツライwww 『わ』行までたどり着ける 自信がないwww」という人もいた。
そこで、Jタウンネット編集部は「法人会税金かるた」を企画・制作した東京法人会連合会の事務所を訪ね、話を聞くことにした。「かるた」制作に関わった担当者は、次のように話してくれた。
「4年ほど前になりますが、東京法人会連合会の青年部会の提案で、小学生高学年を対象にした税金かるたを作成することになりました。あくまでも租税教育が目的です。読み札は各会青年部会から案を募集し、川柳の専門家である尾藤一泉氏の協力をいただきました」
東京都江東区にある「キッザニア東京」で開催された「TAX WEEK」というイベントでは、来場した子供たちに実際にかるたで遊んでもらったという。「税金について少しでも興味をもってもらえれば」と試みたところ、かなり好評だった。参加した子供たちに配布した「かるた」を見た母親が投稿したツイートがきっかけで、反響を呼んだようだ。
「税金について正しい知識を持っていただき、その税金が果たしている役割についてご理解を深めていただけると幸いです」と担当者。
たしかに私たちは、税金について、あまりにも知識が足りない。正確な知識に改めて接すると、なぜか辛くなったり、やたら怖くなったり、平静でいられなくなる。残念だが......。
ツイッター上には、「ちょっと欲しいかも(笑)」「大人達でこれで全力でカルタ大会した後焚き火したら楽しそう」といった投稿もあった。「法人会税金かるた」は非売品であり、残部も少ないという。増刷の予定もない。