都民が選ぶ「好きな東京の地下鉄」ランキング 3位「半蔵門線」2位「東西線」1位は...
1位と2位はわずか1票差
まずは投票結果をご覧いただきたい。1票差で並び立つのは、東京メトロの銀座線と東西線。以下千代田線、丸ノ内線、半蔵門線、副都心線と続き、この6線が100票以上ずつを集めた。 上位9線がすべて東京メトロ、下位4線がすべて都営地下鉄という極端な結果になったが、路線数が多くより緻密なネットワークを持っている東京メトロの方が、基本的に乗客数や知名度の点で優位に立っていたためだろう。
一方、日本地下鉄協会発表の、2017年度の東京の地下鉄各線の輸送人員を見てみる。
すると、上から順に東西線、丸ノ内線、千代田線、日比谷線、銀座線、有楽町線、半蔵門線、大江戸線、新宿線、浅草線、三田線、副都心線、南北線という順である。輸送人員では5位の銀座線が、人気ではトップ。このように、投票結果と突き合わせると、ただ乗客数だけでない他の要因も影響していそうだ。
わずか1票差でトップに輝いた銀座線は、日本最古の地下鉄路線。浅草から渋谷まで途中表参道・新橋・銀座・日本橋・神田・上野とビジネス街や繁華街を一本で結んでいる。また古い地下鉄なだけあって浅い構造の駅が多く、待たずに気軽に乗ることができる路線。日本初の地下鉄の面目躍如といったところだ。
2位の東西線は中野から西船橋まで、都内を一気に横断するメトロ最長の地下鉄で、東側の南砂町~西船橋間では高架線を快走する。西側ではサブカルの街中野、学生街の高田馬場、ビジネス街大手町などを直結し、それだけ利便性も高いことがこの順位につながっていると推測される。反面東京はおろか首都圏トップクラスの混雑率を記録しており、その面での知名度の高さもあるだろうか。
続く半蔵門線、千代田線、丸ノ内線は僅差である。まず2票差と競り合った半蔵門線と千代田線だが、それぞれ地上の私鉄やJR線と直通して走る距離がとても長い。半蔵門線は埼玉北部の南栗橋や久喜(いずれも東武)から神奈川県の中央林間(東急)、千代田線は東は取手(JR)から西は伊勢原(小田急)まで足を伸ばしていて長距離通勤者にはありがたい存在。直通先からさまざまな車両が走行してくるので、マニア目線で見ても面白い路線でもある。
丸ノ内線は池袋から後楽園・大手町・銀座・霞ヶ関・新宿を経由して荻窪へ向かうU字型が特徴で、銀座線に次いで古い路線で、同じように浅い駅が多く東京にすっかり定着した存在。上位にランクインしたのも輸送人員の多さや知名度が妥当に反映されたと思われる。この18年10月には真っ赤なカラーリングの新型車両「2000系」がお目見えし、また19年からは方南町駅から池袋方面への直通運転も始まる予定で、いっそう快適な路線になることが期待される。
輸送人員の割に多くの得票を得たのが副都心線。その名の通り池袋・新宿三丁目・渋谷と3つの副都心を直結する路線だが、東武・西武・東急・みなとみらい線の4社に直通して横浜から埼玉まで直結するネットワークになっている点に、数値以上の便利さを見出している人が多い模様だ。
以下ランキングは日比谷線・有楽町線・南北線と続く。この3線のうち日比谷線と有楽町線は、輸送人員では上位にランクインするものの伸び悩んだ。日比谷線はカーブが多く所要時間がかかる、有楽町線は大手町や銀座のような乗客の多い駅に直結していない、といった点がネックとなったか。南北線は東京13路線での中で最も少ない輸送人員で、新宿・池袋・銀座・日本橋などのターミナルを経由していないことがこの順位につながったようである。
都営地下鉄の4線は大江戸線・浅草線・新宿線・三田線の順になった。ほぼ実際の各線の乗降人員通りの順位である。4線の中で距離が一番長く、9の字型の路線を都内に展開している大江戸線がやはり都民にとっては一番身近ということだろうか。その次が京急・京成などに直通して羽田・成田の両空港に便利な浅草線。そして城東地区から靖国通りを経由して新宿に至る新宿線、団地で有名な高島平と都心を直結する三田線と続く。新宿線・三田線の両線とも既存の鉄道がカバーしていない江戸川区や江東区、板橋区にとって欠かせない鉄道になっている。
ちなみにラインカラーが各線の順位に影響するのでは、との仮説も立ててみたが、青系(東西線・三田線)、緑系(千代田線・新宿線)、赤系(丸ノ内線・浅草線・大江戸線)はいずれも特に順位が近い訳でもなかったので、順位を左右するほどの影響力はなかったようだ。
最後に東京都以外からの投票をみてみる。どの地域からも投票はわずかだったが、東京と同様、銀座線や東西線といった高い順位の路線に票が入っていた。特に、千葉県からの投票の3割弱が県内に6つも駅を持つ東西線に集まっていたのはさすが地元といったところである。