家族の日、みんなで考えたい「お墓のハナシ」 知っていますか?「墓じまい」という前向きな選択肢
2010年の新語・流行語大賞にもノミネートされた「終活」。残された家族のためを思い、「人生の最後」を前向きにとらえて活動している人も多いようだ。最近の終活需要の高まりはニュースなどでもよく耳にする。
Jタウンネット記者は前職で訪問介護の仕事をしていたのだが、利用者から終活に関する話はよく聞いた。ある80歳過ぎの女性は、涙を流しながら若くして亡くなった家族との思い出を振り返り、遠方にある先祖代々のお墓を子どもや孫世代のためにどうしようか頭を抱えていた。その思いつめた表情が、いまも忘れられない。
その女性が検討していたのは、「墓じまい」だった。家族に迷惑がかからないよう先祖のお墓から遺骨を取り出し、墓石を撤去した後で、今の暮らしに最適な墓所へ遺骨を引っ越しさせることなどを指す言葉だ。
東京在住で年齢と共に足腰が弱くなったため、体力的にも地方にあるお墓を訪れることが難しくなり、維持をするのが難しいのだそうだ。また、単純に維持費も馬鹿にならないようで、家族のためにお墓の今後を決めることを、
「残された最後の仕事だ」
と、目を赤くして話していた。
といっても、まだ若い世代が日常生活を送る中で、お墓のことを考える機会はそう多くないだろう。しかし、毎年11月の第三日曜日は「家族の日」(2018年は11月18日)。これをいい機会に、家族のために今のうちに何かできることを考えてみるのもよいかもしれない。
「墓じまい」の需要高まる?
葬儀ポータルサイト「いいお墓」のユーザーを対象にした17年の「お墓の消費者全国実態調査」(月刊仏事18年6月号掲載)によれば、霊園・墓地選びで「アクセス」「地縁のあるエリア」「最寄り駅等からのアクセス」といった地理的条件を重視する人が4割超を占めた。
また、お墓の購入に関する動向としては、一般的なお墓の購入が半数未満となり、元のお墓を別のお墓へと引っ越す「改葬」が15パーセント、生きているうちにお墓を建てる「生前墓」が20パーセントを占めた。「お墓参りや管理をしやすいお墓」という合理性を重視する傾向が全体的に強まっていることがうかがえる。
さらに言えば、ライフスタイルの変化やIT技術の発達により、今ではお墓にも様々な形がある。インターネットを使った「ネット墓参り」やAR(拡張現実)を用いてスマートフォンで気軽にお墓参りができるサービスもあるとか。ICカードをかざすと遺骨が運ばれてくる自動搬送式納骨堂も、場所が限られている都内で急速に増えてきているそうだ。
もっと身近に墓じまいを検討してみてもよさそうだ。しかし、いざ自分で全てやろうとすると役所への申請手続きなどかなり手間がかかるといった話も聞く。
そんな中、「お墓に関するカタログ通販のパイオニア」という聞きなれない肩書で事業を行っている「まごころ価格ドットコム」が、墓じまいに関する必要な手続きを一手に引き受け行っているそうだ。
地元の職人とのネットワークを活かし、日本全国、電話1本でその地区を担当する「まごころ職人」が事前調査からお骨の取り出し、墓石の解体、も行う。遠く離れた場所の墓じまいでもサポートが受けられるそうだ。
「墓つくり」「墓彫刻」も展開し、お墓にまつわる様々なニーズに対応しているとのこと。いったい、具体的にはどんなサービスなのだろうか。そして、現代のお墓事情について、同社はどう考えているのか。
Jタウンネット編集部はまごころ価格ドットコムに詳しい話を聞いた(後編へつづく)。
〈企画編集Jタウンネット〉