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1本で4方向に対応できる信号機が宮城県にだけある? 県警に詳しく聞くと...

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2018.08.07 06:00
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宮城県内に、全国的に類を見ない形の信号機が設置されている。

通常、よく見かける信号機は進行方向に従い、それぞれ車両用と歩行者用にわけられ、交差点の場合は4隅に立っている。だが同県にある信号機の中には、交差点の1隅にしか設置されていないのに、4方向に対応した物があるという。Jタウンネット編集部は宮城県警察本部交通規制課に詳しく聞いた。

交通量が多いのに信号機を置くスペースに余裕がなかった

仙台市青葉区錦町2丁目1番先にある錦町2丁目空堀丁(そらほりちょう)交差点
(宮城県警察本部交通規制課提供、以下同)
仙台市青葉区錦町2丁目1番先にある錦町2丁目空堀丁(そらほりちょう)交差点 (宮城県警察本部交通規制課提供、以下同)

この信号機の正式名称は、「懸垂型信号灯器」。1本の柱頂上部の突端にとりつけたアームに4方向を向いた信号灯器を吊り下げ、交差点中央空間に伸ばしているのだ。車両用信号機の内側に、歩行者用が組み込まれた形となっているが、交差点中央に位置しているので、運転者も歩行者にも見えるのだという。

同課によると、県内では1979年に仙台市内で初めて設置された。以降、86年までに仙台市内を中心に設置され、18年8月時点で大和町、亘理町、大河原町、石巻市、白石市の県内6市町に26か所の交差点に立っているという。

この信号灯器が設置された背景は、「当時、交通量が多く信号機がないと交通を制御できないような交差点であるにもかかわらず、道幅が狭いために4本の信号機を置けない交差点がありました。そこでコンパクトにしようと、1本にしました」(同課担当者)

「(初期に設置されたコンクリート製の懸垂型信号灯器は)宮城県にしかないと思われる」と担当者は話しながらも、「なぜ宮城なのか、というと正直わかりかねます。他県でも同じような状況の交差点はあったはずです。ですが、これを設置する必要がないと判断したのか、当時の物価で1か所につき600万円と高価な特注品であったことから手を出せなかったからではないのかと思います」と推察。

通常の信号機であれば国が費用を半分負担するのだが、懸垂型の場合は特注品であるために都道府県が全額負担しなくてはならなかった。現在、4隅にある交差点の信号機は500~600万円だとのことで、当時の物価を考えると他県が手を出しづらかったことは想像に難くない。

国見2丁目交差点(仙台市青葉区国見2丁目8番先)
国見2丁目交差点(仙台市青葉区国見2丁目8番先)

次第に県内では幹線道路が出来る等、信号機がなくとも交通量を捌けるようになると、86年以降新たな設置はなくなった。

レア信号機、今後はどうなる?

「老朽化したものについては5年以内をめどに無くしていくつもりです」(上記担当者)

設置から30年以上経過し、鉄柱製であることから、老朽化が進んでいる。今後、当時設置されたものを撤去、あるいは更新の方向で、次のような3パターンで検討中だという。

1. 交通量が減り、信号機がなくとも制御できる交差点では信号機そのものを撤去し、一時停止の標識を取り付け。
2. 通常の信号機と同様に、交差点4隅に新たに4本設置。
3. アルミ製に切り替える。

2については、信号機の直径が細くなったからだ。当時の信号機はコンクリート製で、直径30センチと太かった。仮に上記の写真の場所に1本置いた場合、歩行者が避けるために車道に出なくてはならなかった。だが現在、鉄製に切り替わり、直径は16センチと半分近くに細くなった。そこで通常の信号機が設置できるようになったのだという。

3については、宮城県警が把握している限りでは、愛知県内で現在、アルミ製の懸垂型信号灯器に似たような物が設置されており、宮城県の方でもこれを踏襲しようというものだ。ちなみに、この愛知県内に設置されているアルミ製の懸垂型信号灯器について、Jタウンネットは4年前に「大須にある『変な信号機』の謎を追う」で取材している。

「交通量を捌くという設置当初の目的は達成され、いらないところは外す、残すところは整備していく、といったように今後取り組んでまいります」。上記担当者は、そう話した。

宮城県出身の筆者はこの形の信号機を見たことはなかったが、無くなる前に探しに行こうと思う。

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