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「鳥栖はほぼマドリード説」、トーレスがサガン加入するので検証してみた

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2018.07.17 06:00
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かつてはサッカー少年で、熱心にサッカー雑誌を読んでいたJタウンネットの記者だが、ここ10年ほど海外サッカーの最新情報からは遠ざかっている。スペイン代表といえばラウールやイエロ、ルイス・エンリケが思い浮かんでしまう程度だが、フェルナンド・トーレスは知っている。たしか、最初のアトレティコ・マドリード所属時は坊主頭だった。

ともかく名選手であり、卓越したプレーヤーのトーレスが、J1のサガン鳥栖(佐賀県鳥栖市)に加入するという。理由については専門誌やメディアでトーレス自身が語っているが、記者はふと思った。

「ひょっとして本拠地の鳥栖市、結構マドリードに似ているんじゃないの」

力技で両都市の共通点を探る

各国の報道を見ると、トーレスには日本以外にも地元ヨーロッパはもちろん、オーストラリアやアメリカなどのチームからもオファーが来ていたようだが、最初にトーレスに興味を持ち、熱心に誘ってきたサガンに決めたとか。

とはいえ、見知らぬ国で選手生活をする不安もあるだろう。そんなトーレスの背中を押したのが、サガンのホームタウンである鳥栖と、自身が長く滞在してきたマドリードの類似点だったのではないか。

Jリーグについてはあまり詳しく知らないとトーレスは語っているようだが、日本人だって佐賀県民や出身者以外は、鳥栖市のことをよく知らないはずだ。きちんと調べてみてればマドリードとの類似点や共通点が浮かび上がってくるかもしれない。

スペインと日本じゃ違うに決まっているというのは野暮だが、印象論では意味がないので、両市の公式サイトでデータを洗い出してみよう。

地理的には鳥栖はほぼマドリード

まず鳥栖の場所だが、佐賀の東端に位置し面積71.72平方km。北には脊振山地がありその先には福岡平野、南は筑後川をはさんで久留米市があり、隣接する市町村はみやき町・基山町(いずれも佐賀)となっている。

右側ほど内陸になります(画像は鳥栖市公式サイトより)
右側ほど内陸になります(画像は鳥栖市公式サイトより)

一方マドリードは、スペインの首都であると同時にマドリード州の州都、マドリード県の県都を兼ねる世界屈指の大都市のひとつ。ほぼスペインの中心といえる場所に位置しており、面積は604.45平方km。実は標高が657mと、欧州の首都の中でもトップクラスに高い。ちなみに鳥栖市は23.5mだ。

スペインって鳥栖とほぼ形同じじゃない!?(赤枠はマドリード州, 画像はGoogleマップより)
スペインって鳥栖とほぼ形同じじゃない!?(赤枠はマドリード州, 画像はGoogleマップより)

数字からは特につながりを見いだせないが、実はどちらも内陸に位置する都市なのだ。九州もイベリア半島も周囲を海に囲まれており(イベリア半島はフランスとつながっているが)、周囲の自治体は海に面しているのに、鳥栖市もマドリードも海とは縁がない。地理的条件では、鳥栖はほぼマドリードと言えなくもない。地図を見ていただくと、形もほぼ同じ。

ちなみにひょっとして気候もほぼ同じなのではないかと考えて調べてみると、マドリードの年間平均気温は約15℃、鳥栖市は16.8℃。温暖な点は一致し、夏は暑く、冬は一桁まで冷え込むという点も近いのだが、鳥栖市は平均降水量が2042.0mmなのに対し、マドリードは400mmとなっている。乾燥度相では対極にあるようだ。

まだまだこじつ......探すぞ、ほぼマドリード

さらに他のデータも見てみよう。面積の差や、そもそも片や首都といった機能的な差もあるので、人口は圧倒的に異なる。マドリードは318万2981人(2017年時点)、鳥栖市は7万3280人(2018年6月時点)。

さすがに鳥栖市の人口が今後300万人増になるのは無理があると思われるが、「平成29年版 鳥栖市統計書」を見ると、人口推移は一定して増加傾向にあり、「地方都市の人口は減少傾向」というイメージに当てはまらない。

九州新幹線の新鳥栖駅や、九州を縦横断する主要高速道路がクロスする鳥栖ジャンクションも有しているし、今後の発展次第では九州の陸の玄関口としてさらなる飛躍を遂げ、マドリード並の都市になったりならなかったりするかもしれない――。

話がそれてしまった。なかなかデータでは噛み合わないなと考えながら、マドリードの紋章を見ていると、気が付いてしまった。このクマに見つめられている緑の塊、鳥栖市鳥ののメジロをモチーフにしたイメージキャラクター「とっとちゃん」じゃない? とっとちゃん、クマに追われて木の上に逃げたんじゃない?

この緑の楕円形はひょっとして......(Heralderさん作成, Wikimedia Commonsより)
この緑の楕円形はひょっとして......(Heralderさん作成, Wikimedia Commonsより)

とっとちゃんも緑の楕円ですよね(画像は鳥栖市公式サイトより)
とっとちゃんも緑の楕円ですよね(画像は鳥栖市公式サイトより)

マドリード市議会の紋章仕様書を見たところ、これはとっとちゃんではなく、ツツジ科の低木「イチゴノキ」を表しているとのこと。イチゴとついているものの、果物のイチゴとはまったく異なる植物なのだが、佐賀といえば独自のブランドイチゴ「さがほのか」がある。ももちろん鳥栖市でも栽培されているのだ。

また鳥栖市の「市の木」は、やはり赤い実をつける低木「モチノキ」だ。イチゴというキーワード、赤い実......。紋章がマドリードと鳥栖のつながりを暗示していたんだよ!

そろそろみなさんに怒られると思われるので、止めておこう。ともかく、ほぼマドリードである鳥栖で、トーレスの勇姿を見ることができるのなら、もはやこれは「マドリードに行ってきた」と言っていいレベルだ。

東京からマドリードは直行便でも13~4時間要するが、鳥栖なら飛行機で約2時間、電車でも約6時間。今年は九州のマドリード(今思いつきました)に行くしかない。

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