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文字ビッシリ! 「九州で最も小さな町」のパンフレットがヤバい

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2018.05.28 11:00
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福岡県吉富町。ここは、九州地方の中で最も小さな町として知られている場所だ。地方がこぞってPRに力を入れる中で、吉富町にとってはこれだけでも強みになりそうなものだが、実は着目すべきは吉富町のPR活動そのものなのだ。

とにもかくにも、次のパンフレットを見てほしい。

普通のPRであれば埋もれてしまうという危機感があった

吉富町のパンフレット(Jタウンネット編集部撮影・以下同)
吉富町のパンフレット(Jタウンネット編集部撮影・以下同)

どうだろう。文字だけで絵はないものの、すさまじい存在感というべきか。九州のある空港で、このパンフレットを見かけたK編集長も「これは手に取らねばならないと感じた」と振り返るほどだ。

パンフレットをじっくり見てみると、「九州で1番小さい町」という言葉より、「神相撲」という言葉の方が大きいというのも笑いを誘う。ほかにも、

「目指さなくてもコンパクトシティ」
「縁起良すぎな町名」
「駅前駐車場まさかの4時間無料」

と、自虐なんだかアピールなんだかわからぬ文章もちらほら。

中身を見ると、人口や面積といった基本的な情報はもちろん、「飽きるほど食べられる」魚のハモをはじめとしたご当地グルメの情報や、面白い道路標示の画像なども。表紙と同じく、文字だけで思わず笑ってしまう部分もあり、読みごたえは十分だ。

運転をしていて「あ、危ねー!」とならないようにしたいものである
運転をしていて「あ、危ねー!」とならないようにしたいものである

堂々とした正答率「1%」という文字がもはや誇らしい
堂々とした正答率「1%」という文字がもはや誇らしい

ふつう、地方自治体のパンフレットは、自治体らしい真面目なものが多いところ、吉富町のPRはどうにもインパクトが強すぎる。ここにどんな戦略があるのだろうか。Jタウンネット編集部が2018年5月23日、吉富町企画財政課の担当者に尋ねると、

「普通のPRをしていてはどうしても埋もれてしまうので、他の自治体のPRとは一線を画すような、尖ったもの、インパクトのあるものを作ろうと考えたんです」

という。

吉富町も元々は他の自治体と変わらないような観光情報や町の情報に関するPRを行っていたが、「1つにまとめた形で情報を提供できないか」ということは以前からもたびたび議論になっており、17年11月にパンフレットを完成させた際に思い切ったデザインに変更。最初1万部を刷り、好評で1万部増刷したという。

「吉富町はただでさえ小さくて、通り過ぎてしまう町なので、その知名度の低さを逆手にとって、自虐的な内容を盛り込み、まず手に取ってもらえたらと考えました」

と説明してくれた。手に取ったうえで町のいいところについて読んでもらい、PRにつなげていければと考えているという。

反響については、

「テレビ局で取り上げていただいたり、遠方のパーキングエリアにパンフレットを置いたりしたところ、町の存在を知ってもらえたところはあると思います」

という。「斬新」「目立つ」といった声も集まっているそうだ。

パンフレットが「新世紀エヴァンゲリオン」のサイトのようだと伝えると、

「そういうご意見も多いですね。デザインについては私たち職員も素人なので、制作側の人にお任せしたのですが、こちらとしてはギリギリを攻めるように要望しました」

と説明してくれた。

ほかにも、パンフレットのデザインを採用したラッピングトラック3台が、町内の運送会社の協力の下で九州から関東を走っているといい、

「このトラックも色味がギラギラしていると、自治体のPRのものとは思われなくなってしまうので、背景を緑、文字色は白で、黒板のようなデザインにしました」

という。最後に担当者は、

「こうしたPRの取り組みをきっかけに、移住や事業をしたい人が少しでも集まれば嬉しいですね。ただ人口が増えるだけではなく、町のファンが増えるように今後も取り組みに力を入れていきたいです」

と展望を述べた。

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