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あなたも命名権獲得できる? 全国の「ゆるネーミングライツ」をざっくり眺めてみた

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2018.05.01 06:00
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スタジアムやアリーナ、ホール、文化会館などの施設に名前を付ける権利、いわゆる「ネーミングライツ」を販売して収益を得るモデルも、ずいぶん一般的になってきた。正式な名称が変更されてしまうわけではなく、通称や愛称を変えるだけで成立することもあり、貴重な収入源として、地方自治体が導入する例も少なくない。

ネーミングライツというと、思い浮かぶのは大型施設だ。スタジアムやドームに企業の名前が冠され、一風変わった名前になったりすると話題になるが、億単位の契約金が必要になる場合も多く、見かけるのは大企業がほとんどだ。

「ロズウェル」に「ありがとう」

だが、自治体のネーミングライツ事業などを見てみると、大型施設に限らず、身近でお手軽(?)な施設が対象となる、「ゆるネーミングライツ」とでも言えるような事例が数多くある。これがなかなか味わい深いのだ。

「ゆるネーミングライツ」は記者が適当に考えただけなので、明確な定義があるわけではない。契約金がお手頃価格で、対象となる施設も比較的こじんまりしたもの、といったところだろうか。ネーミングライツの醍醐味でもある、名称の面白さも加味しておきたい。

すべての事例を網羅するのは難しいのだが、有名どころから、記者の個人的なお気に入りまで、いくつかご紹介しよう。

まず、ゆるネーミングライツ界の中でもかなり知名度が高く、「髪毛黒生駅」などしばしばニュースなどでも取り上げられていたのが、銚子電気鉄道(千葉県)の駅名愛称ネーミングライツ。2015年から銚子電鉄の路線上にある、10駅の愛称を販売している。契約金は100万円台で、一般的な感覚はともかく、億単位の契約金に比べればずっとお手軽だ。

2017年12月に発表された契約状況を見ると8駅の契約が更新されるなど、現在も順調に利用されている。企業名をそのまま入れた定番はもちろん、「ありがとう」といったフレーズや、なぜか「ロズウェル」と名付けられたりと、ほのかなカオスも感じさせる。

ロズウェルも気になるが、「OTS」が「ワンツースマイル」の略であるところもなかなか味わい深い(画像は銚子電鉄のサイトより)
ロズウェルも気になるが、「OTS」が「ワンツースマイル」の略であるところもなかなか味わい深い(画像は銚子電鉄のサイトより)

2017年7月には車両ネーミングライツも開始しており。1000万円という価格にもかかわらず、千葉市の企業が名乗りをあげ「金太郎ホーム号」として2018年7月まで運行する予定だ。

ただし、駅名や車両名のネーミングライツ事業を展開できるのは鉄道会社の特権であり、ゆるネーミングではやや特殊な事例。自治体などの場合、やはり定番は公共施設や道路となる。

どこかで聞いたことがある名前の通り

埼玉県戸田市は2017年から市道のネーミングライツ契約を行っており、市道3200号線は地元の総合病院とパートナー契約を結び「中央病院通り」に、市道5003号線はイオンリテールがパートナーで、その名も「イオンわくわく通り」となった。

とてもローカルな市道であるにもかかわらず、大手流通企業の名称を冠したことで、急にチェーン感が出てきている。大手コンビニや小売各社が、全国のゆるネーミングライツを一気に押さえたら、あちこちに「ホットステーション通り」とか、「SE○YUストリート」が溢れかえる、なんて状況になるのだろうか。

こうして名前ボードを提示されると、より不思議な感じに(画像は戸田市のサイトより)
こうして名前ボードを提示されると、より不思議な感じに(画像は戸田市のサイトより)

「イオンわくわく通りの突き当りを右に曲がったところだよ」

などと説明する光景を想像するだけで、わくわくしてしまう。ちなみに命名権料は中央病院通りが30万円(年額)、イオンわくわく通り60万円(年額)で、契約期間は10年間。数十万で道路に名前が付けられるというのはかなり破格ではなかろうか。

道路以上に多いのが公衆トイレと歩道橋だ。ゆるネーミングライツ界においてこの2施設は定番中の定番。記者は地方取材で歩道橋を見かけるたびに、「ひょっとしてすごい名前がついているのでは」と期待しながら見てしまう。

2018年1月に発表された山口県下関市の歩道橋ネーミングライツパートナーは、冠婚葬祭大手の日本セレモニーで、市内2か所の歩道橋がそれぞれ「典礼会館向山歩道橋」「典礼会館小月歩道橋」となった。ライフイベントの中でもエンディング感が強い語感と、歩道橋という実用度の高いインフラの組み合わせが、アンバランスな美を生み出しているような気がしなくもない。

公衆トイレの場合、契約金は0円の代わりにトイレの維持管理をパートナー企業が担う、という形態が多い。名前の面白さよりは、清潔さや最先端の設備が導入されている、といった実利面を味わう場となっている。

面白さばかりを強調してしまったが、ゆるネーミングライツも実はかなり厳しい状況に晒されている。実情を聞こうとJタウンネットが取材を行った某自治体の担当者は、「正直なところ、あまり売れない」と話していた。

「広告効果が高そうな場所はなんとかなりますが、大都市圏はともかく、地方都市ではそんな場所はそうそうありません。なんとかパートナーが決まっても、『あまり意味が感じられない』と契約を解除される場合もあります」

地元に貢献する、利益を還元するといった意図もあるかもしれないが、企業としても慈善活動でネーミングライツ事業に応募するわけではない。

「価格交渉や営業を行う必要もあるなとは考えているのですが、そこまでやっても契約されなかった場合はどうするか。投資をする余裕もない自治体にとっては、悩ましいところです。うまく話題性があるネーミングライツ事業が展開できれば、企業も自治体もPRにつながるのですが」

思わぬ地方の実情もゆるネーミングライツから感じてしまったが、話題性という面でJタウンネットも是非貢献したところだ。

「Jタウンネット歩道橋」「Jタウンネット通り」「Jタウンネットトイレ(語感が悪い)」など設置してもいいぞ(しかも安価で)、という担当者の方からの連絡を待ちたい。

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