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東播磨は存在感あるぞ! 地元出身者をフル活用した加古川市の「かつめし動画」【ご当地動画ひざくりげ】

十中舎八九(じっちゅうしゃ・はっく)

十中舎八九(じっちゅうしゃ・はっく)

2018.04.28 11:00
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兵庫県東播磨県民局の作った「自虐CM」が話題になっている。明石市や加古川市といった東播磨地域が、神戸や姫路より存在感が薄いことを逆手にとり、架空のアイドル「神戸ちゃん」「姫路ちゃん」「東播磨ちゃん」の奮闘を描いた作品なのだが、明石市長からの「マイナーではない」といった抗議を受けて、YouTubeでの公開が停止されたというのだ。

そんな、ご当地動画で揺れている東播磨エリアから、今回は加古川市の「陣内智則『かつめしPR動画』」を紹介しよう。この動画を見れば、加古川が強い個性を持っていることが分かるはず――。

そこはかとない「笑いのニューウェーブ感」

かつめしは加古川のソウルフード(松岡明芳さん撮影、Wikimedia Commonsより)
かつめしは加古川のソウルフード(松岡明芳さん撮影、Wikimedia Commonsより)

地元出身の著名人を起用したものは数あれど、兵庫県加古川市の「かつめしPR動画」ほどの全のっかりぶりは、いい意味で清々しい。陣内智則の代表ネタである「映像ツッコミ」を、地元PRに応用しているのだ。ご当地グルメ「かつめし」のPR動画ができたと聞いた陣内が、「ちょっと見てみよう」と再生ボタンを押すところからスタートする。

視聴者から見て、左側に大画面モニター、右側にソファーに腰かけた陣内。土曜夜のバラエティ番組でよく見た構図で、動画は進んでいく。加古川市民は、人生のあらゆる場面で「かつめし」を食べると、赤ちゃんや小学校、卒業式、通勤、結婚での食事シーンが映し出されるのだが、どれも現実味がないものばかりで、その度に陣内はツッコミを入れるのだった。

さすが陣内の定番ネタ、その安心感には舌を巻く。しかし、あまりに「笑いのニューウェーブ感」が強いので、自己主張の激しいテロップや、観客の笑い声が欲しくなってしまう。個人的には、あのスタイルは好きではないのだが、いざ無いとそれはそれでさみしくなるのはなぜなんだろうか。司会者と、ほほえみを浮かべる女性アシスタントのカットも、ときどき欲しくなる。

「かつめし」は、ご飯の上に牛カツをのせ、デミグラスソースをかけたもの。戦後まもなく誕生したとされ、ゆでキャベツを添えて、箸で食べるのが特徴だ。字面だけでも美味しそう。これは、間違いない......と、他のエンタ芸人のネタも思い出してしまうほど、容易に味が予想できる。70年も愛されているのだから、陣内もかつめしと共に歩いてきたのだろう。

陣内の動画は2017年3月に公開されたのだが、左側に流れる動画(ツッコミどころの多いヤツ)は前年11月に「加古川市民LOVESかつめし」のタイトルで先行公開されている。当時の報道を見ると、「LOVES」には市民のほか、加古川観光大使の北原雅樹も出ているそうだ。かつてお笑いコンビ「グレートチキンパワーズ」で活躍し、解散後は俳優をしているのだが、映像を見てもまったく気づかなかった。どうやら地元ケーブルテレビやコミュニティFMで番組を持っているらしい。

北原のほかにも、気になる人物が。終盤で縁側に腰掛け、美味しそうに「かつめし」をほおばる人物だ。「わしらの人生には、いつもかつめしがあったなぁ」と天を仰ぐ、この男性。LOVESではとくに言及がないのだが、陣内版で「俺のオヤジやないか!」とタネ明かしされる。オヤジさんの満面の笑みを見ると、本当に人生と寄り添ってきたんじゃないかと、思わず納得してしまう。息子がピアノ生演奏したあの日も、ひとりだけ式場の料理じゃなくて、「かつめし」を供されていたと言われても、さほど驚かないであろう「しみじみ」ぶりだ。

加古川市の出身者には、ほかにも上野樹里らがいる。上野が姑・平野レミといっしょに「かつめし」を調理する動画――なんて見てみたいが、実現しないだろうなぁ。(ご当地動画ウォッチャー・十中舎八九)

十中舎八九

筆者:十中舎八九(じっちゅうしゃ・はっく)

ご当地動画ウォッチャー。外出は疲れるので、自治体制作の動画を見て、旅行を疑似体験するのが趣味です。Twitterはじめました。
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