「へんじがない 古代の人は無口なようだ」 福井・松岡駅前に「ドラクエ風」の観光マップ登場
「ゲーム好き」の大学准教授が、町長と意気投合
永平寺町役場の総合政策課によると、この看板は2017年3月下旬、永平寺町と福井大学の共同研究「永平寺町学生まちなかデザインに関する調査研究」の一環で設置された。発端は、町村合併(06年)前の旧松岡町時代に作られた旧看板の老朽化だ。近隣に2大学2高校を擁する町が「若い方の意見を取り入れよう」と福井大学に声をかけ、16年4月から大学側と打ち合わせを重ねた。
看板の大きさは、縦3メートル、横5・4メートル。両面には、異なる絵柄が描かれた。「ドラクエ」風のデザインが駅のホーム側で、町の風景による「モザイクアート」が反対側だ。ホーム側の地図には、ドット絵で川や山などの地形と主要な観光地や公共施設が示されている。たとえば松岡駅だと、
「松岡駅に降り立った。永平寺町の空気を吸っただけで、全てのスキルがレベルUP!名残惜しくてこの町を離れられなくなる。はじまりの場所」
と説明されており、手繰ケ城山古墳では、
「手繰ケ城山古墳へ...へんじがない 古代の人は無口なようだ...古代人の神秘の力でレベルUP」
となるなど、ゲームの世界に飛び込んだような雰囲気を漂わせている。
共同研究で学生たちを指導した同大産学官連携本部の竹本拓治准教授にも、話を聞いてみた。竹本氏によると、このデザイン案が飛び出したのは、大学院生がゼミ講義で看板について話し合った時のことだった。
「普通の地図を作成するより、注目度というか話題性を集めるようなものにした方がいいのではないか。学生からそんな意見が出たのです」
「ゲーム好き」の竹本氏(43)が「ドラクエ風」を提案すると、学生からも賛同の声が上がった。しかし町役場にその案を持ちかけたが、反応は芳しくなかったという。だが最終的には、同世代の河合永充町長(44)が「それ、いいね」と賛同したのが決め手となり、大学側の提案は通過した。
「車窓から見た方に興味を持ってもらい、駅に降りてもらえるよう意識して作りました」(町役場)
電車から降りて立ち止まってまじまじと眺める人もいるという。看板がこれから先、町の活性化に一役買うこととなるかもしれない。