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千葉大学が「墨田区」に新キャンパス! なぜ東京都内に置くのか、理由を聞いてみた

松葉 純一

松葉 純一

2017.04.06 17:00
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2017年3月22日、東京都墨田区千葉大学が包括的連携に関する協定を締結したと発表した。

千葉大は墨田区内に新たなキャンパスを設置し、「デザイン・建築スクール」の開設やグローバル・プログラム構想を推進する。場所は、東京スカイツリー近くの「すみだ中小企業センター」(今年3月閉館)が改修され活用される。

このニュースは新聞各紙で報じられ、反響を呼んだ。

墨田区は「ものづくりの街」

千葉大学の墨田キャンパスとして生まれ変わる「すみだ中小企業センター」(画像提供:墨田区役所)
千葉大学の墨田キャンパスとして生まれ変わる「すみだ中小企業センター」(画像提供:墨田区役所)

ツイッターには、冒頭のニュースを知った人からこんな声が寄せられている。

「東京大学が千葉県に進出し(柏)、千葉大学も東京に進出ということで相互乗り入れか」、「東京ディズニーランドとか、東京ドイツ村によって植民されてきた千葉の逆襲なのか」などという感想もあった。

はたして千葉大学の狙いは、いったい何なのか。Jタウンネット編集部は電話で話を聞いてみることにした。

電話で答えてくれたのは、千葉大学の渡邉誠理事だった。

「墨田区というのはものづくりの街として発展してきたところです。製造業の大小さまざまな工場が集まっています。私たち千葉大学工学部も、ものづくりという意味では接点があります。新たなコラボの可能性も期待できるだろうと考えています」と渡邉理事は語る。

「工学部の中に、デザインや建築設計に特化した履修コースをつくりたいという構想は、実は10数年前からあったのです。よりクリエイティブな人材を育てるには、今までとは違う組織や環境が必要ではないかと模索してきました」。

千葉大学の工学部は、「東京高等工芸学校」を母体としている。工学と美術の境界領域である工業デザインを対象としたユニークな学校として、1922年に東京都港区芝浦に創設されている。戦後、千葉大学に学部として組み込まれたが、東京高等工芸で培われた伝統はデザイン学科や画像科学科に脈々と受け継がれているのだ。

千葉大学工学部出身者には、自動車メーカーや電機メーカーなど製造業の工業デザイン部門で活躍する人が多い。またフリーで活躍するデザイナー、写真家、建築家、画家、映画監督、漫画家など、卒業生の顔ぶれは多士済々だ。

千葉大学工学部「デザイン・建築スクール」構想イメージ画像(画像提供:千葉大学)
千葉大学工学部「デザイン・建築スクール」構想イメージ画像(画像提供:千葉大学)

「墨田キャンパスがスタートする2021年は、東京高等工芸創設100周年に当たります。デザイン・建築スクール(School of Design and Architecture)の本格的な設置は、この記念すべき年から始まります」と渡邉理事。

「墨田キャンパスのもう一つの利点は、優秀な講師陣の獲得です。非常勤講師として力を借りたい工業デザイナーやクリエイターの多くは、東京で実際に仕事をされている方がほとんどです。千葉まで来て指導していただくのはなかなか大変でした。それが墨田区なら、可能性はより高くなるでしょう。デザイナーや建築士などの専門家が教員として働きやすくなる『クロスアポイントメント制度』も活用できるといいですね」。

渡邉理事は千葉大学の「デザイン・建築スクール」構想についてこう話してくれたが、実はまだまだ壮大な構想もあるようだ。それはまた次の機会に伺うことにしよう。

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