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麻雀漫画の主人公たちは、どんなタバコを吸っているのか調査してみた【前編】

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2017.01.27 11:00
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麻雀漫画の主人公はだいたいタバコを吸っている。

「身体に悪いから......」とか言って禁煙しちゃう赤木しげるや、「あ、この店禁煙か......」とタバコをしまう哭きの竜なんて、想像もつかない。

一方、現実では、飲食店などに「原則禁煙」を求める健康増進法の改正が、国会で議論されている。雀荘もその対象だ(業界団体は、客の喫煙率の高さや、喫煙室を設けるスペースの不足などを理由に、反対の声を上げているという)。

そんなニュースを見ていたところ、ふと気になった。

「麻雀漫画の主人公たちは、どんなタバコを吸っていたんだろう?」 「タバコは、麻雀漫画の中でどういう役割を果たしてきたんだろう?」
麻雀漫画とタバコの関係を追う
麻雀漫画とタバコの関係を追う

というわけで今回のJタウン探検隊では、「麻雀漫画」と「タバコ」の関係を調べてみた。

赤木しげるはハイライト→マルボロ

まずは、福本伸行作品から。最初に挙げるのはその代表作で、今も連載中の「アカギ」。孤高の博徒・赤木しげる(アカギ)の生き様を描く。

青年アカギが好んで吸うのは、「ハイライト」(1960年発売)。作中時点(1960年代半ば)には最新の人気製品だった。アカギ、意外と流行に敏感である。

アカギは、タバコ屋さんで自らハイライトを購入する場面もある。抜いた血液にぶち込んだのもおそらくはハイライトの吸い殻
アカギは、タバコ屋さんで自らハイライトを購入する場面もある。抜いた血液にぶち込んだのもおそらくはハイライトの吸い殻

その後、壮年期のアカギが登場する「天」では、「マルボロ」(日本では1973年発売)に乗り換えている。通夜編の問答中に吸っていたのはこちら。墓の前にも、ちゃんとマルボロがお供えされている。

アカギのタバコは、焦りとは無縁

アカギのタバコの吸い方は、一言でいえば「リラックス」。

愛煙家のアカギだが、原作(壮年期が描かれる「天」も含めて)では対局中にはほとんど吸う描写がない(逆に言うと、吸いながらの対局はアカギが「舐めプ」モードの時である。仲井戦や僧我との「9」など)。

「アカギ」のスピンオフ元である「天」。このころにはアカギもマルボロ派に。主人公の天貴史はマイルドセブン。宿敵・原田との交渉時、「悩むふり」として喫煙するシーンが天らしい。
「アカギ」のスピンオフ元である「天」。このころにはアカギもマルボロ派に。主人公の天貴史はマイルドセブン。宿敵・原田との交渉時、「悩むふり」として喫煙するシーンが天らしい。

対局前やその休憩中、そして一勝負終えた後に。一人で、あるいは気を許した相手を前に。焦りやいらだちとは無縁。紫煙をくゆらせながら、深く思索を巡らせる。

「苦渋は必至...! しかし... だからこそ アカギは飛び込みたい...! その業火に...!」(単行本16巻、10ページにわたる喫煙シーンでのモノローグ)

まさに自由人たる「アカギらしい」タバコの吸い方だ。

「苦い」タバコもしっかり描く福本作品

福本作品では、そんな「かっこいい」タバコだけではなく、「苦い」タバコも登場する。

麻雀漫画ではないが「カイジ」で、主人公の伊藤開司(カイジ)が吸うのは、だいたいこの口。ピンチに陥りながら、懸命に自分を落ち着けるように(「沼」編とか)、あるいは憂鬱な気分を紛らわすように、苦い顔でタバコを吸う場面が目立つ(銘柄はこちらも「マルボロ」)。

「カイジ」とマルボロ。地下での強制労働中、仲間たちとタバコを共同管理して耐える場面が印象深い
「カイジ」とマルボロ。地下での強制労働中、仲間たちとタバコを共同管理して耐える場面が印象深い

「天」通夜編で、無為な日々を送る井川ひろゆきの喫煙シーンも印象深い。麻雀の道を諦めてサラリーマンとなったひろゆきが、散らかった一人暮らしのアパートで、スーツ姿のまま「キャスター」をぽつんと吸う姿は、老け込みぶりと、その停滞がよくわかり、見ているこちらが悲しくなってくる。

「銀と金」蔵前麻雀での心理描写

こちらも麻雀漫画ではないが、同じ福本作品の「銀と金」に登場する、凄腕のフィクサー・平井銀二の吸い方はちょっと毛色が違う。

現在放映中のドラマ版では、リリー・フランキーさんが演じている平井銀二
現在放映中のドラマ版では、リリー・フランキーさんが演じている平井銀二

蔵前麻雀編、捨て身の大勝負で大富豪・蔵前仁を追い込んだ銀二たち。青ざめた表情で葉巻を手にする蔵前は、なんとか支払いを値切ろうとする。しかし銀二は即答せず、タバコ(別の場面から見るとマイルドセブン=現在のメビウス?)を吸って一拍置いてから、合計3000億円相当という条件を吹っ掛け、見事受け入れさせる。

銀二のタバコは、こちらの「余裕」を相手に見せつけるためのパフォーマンスだ。タバコひとつ吸うのも、相手との交渉の手管、精神戦なのだ。

このように、巧みにタバコを心理描写のアイテムとして使っているのが、福本作品の特徴だ。31日公開の後編では、他作者の麻雀漫画を取り上げたい。

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