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埼玉県にある約30m×60mの「東京都」...飛地の存在理由、区役所もわからず

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2017.01.04 11:00
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こちら、なんの変哲もない県境に見えるが、実は知る人ぞ知る珍スポットだ。今記者が立っているのは埼玉県新座市だが、それに囲まれるように、東京都練馬区の1部が存在している。全国に結構な数存在する「飛地」の1つがここだ。

そんな小さな飛地、「東京都練馬区西大泉町@埼玉県新座市」について、その成立の経緯などを調査してみた。

こちら埼玉県新座市練馬区

東京都練馬区の飛地、「西大泉町」は、隣接している埼玉県新座市の中に存在している。

練馬区には「西大泉」という地名はあるものの、そちらの住所表記は「西大泉1丁目」で、飛地である「西大泉町」とは少々異なっている。

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近くを散策してみると、飛地ならではと言えるものを発見した。それがこちらだ。

編集部で撮影、一部加工

編集部で撮影、一部加工

埼玉県側に設置されている案内板には、「そこはうちの管轄じゃないので......」とでも言いたげに、飛地の部分だけは「東京都」とまとめて表記されていた。

近くを通った若い配達員と思しき人も、この案内板の前でしばらく立ち止まっていた。東京なのか、埼玉なのか、慣れないうちは大変そうだ。

また、案内板では「畑」となっている場所は2016年末現在、住宅になっていた。練馬区役所によると、2015年春ごろに新たな住宅が建設され、住民が増えたのだという。

散策を続けると、周囲には東京都と埼玉県、2種類の消火器があることも確認した。こちらは飛地だから、というよりも自治体の境目だから、という理由が大きいだろう。

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それぞれの住所に対応した自治体が設置していると思われる

区役所もよく分からない

実際に歩いてみるとすぐに分かるのだが、練馬区本体とは100メートル程度しか隔たれていない。1分もあれば往復も可能な距離だ。

東京都か埼玉県がもう少し頑張れば解決してしまいそうでもある。

練馬区役所に取材したところ、担当者は、編入の計画は存在すると語った。

「新座市へと編入するという方針はあり、現在もそれは変わっていないのですが、住民の方々から飛地で不便しているということもなく、意見を無視して行うことも出来ないため、進んでおりません」

また、成立の経緯については、

「詳細は区役所の方にも伝わっておらず、昭和49年(1974年)に開発業者が練馬区の方に開発の相談に来た際に存在が発覚しました。恐らく登記簿などを見てこちらに来たのだと思われます」

と語った。

そうなると書類を作成した誰かが居るはずだが、74年まで存在すら把握されていなかったことからも、遡ることは難しそうだ。

歴史的にどのような土地だったのか、という点も不明で、鷹狩の場所だった、住宅地の中にある畑だった、という推測がされているという。

「ただ、行政の手続きの漏れから、このような形になったと考えられます」

また、地理的には新座市、行政的には練馬区扱いということもあり、行政サービスでは両者が分担して行っていることも分かった。

「行政サービスに関しましては、上下水道は新座市が、ゴミの処理は練馬区の管轄になっております。学校も基本的に練馬区の小中学校に通うことになっています。」

練馬区と西大泉町の往復では、ゴミ収集車は当然新座市を通過することになるが、道中のゴミを拾うこともないという。中々シュールである。

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電柱の張り紙にも、ゴミ関係は練馬区の管轄であることが示されていた。

日本全国には現在も多数の飛地が存在している。今回の西大泉町のような小さなものから、和歌山県北山村のように、村が丸ごと飛地になっている例まで様々だ。

同様に飛地となった理由も多彩で、それぞれの土地の歴史と結びついたストーリーがある。

今回は成立の過程を探ることは出来なかったが、かつての西大泉町と同様に、埋もれたままの飛地もどこかにあるのかもしれない。

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