豊洲新市場の「最速」グルメレポートを書きたい!【最終回・鮮魚】
とりあえず、新市場探索はここまで。
第1回~第4回はこちら。
T「結局、魚どころか自販機すらありませんでしたね」
時刻はすでに14時前である。
そろそろ本気出して魚を探さないと、グルメレポート企画が成立しない。
T「とりあえず、この富士見橋を渡って、有明方面を目指しましょう。そこまでいけば、さすがに何かあるはずです」
とぼとぼとウォーターフロントな光景の中を進むT編集長たち3人。幸い、この日はさわやかな青空の、日差しの暖かい日だったが、海風が常に吹きっさらしているので、さすがに結構冷えてくる。つらい。
T「あっ、Kくんから着信が入ってた。(ケータイ取り出しポパピプペ)もしもし?」
K「Tさん、お疲れ様です! 魚、見つけましたよ!」
T「ええっ!? マジで!?」
見事先を越したのはK副編集長たちだった。いったいどうやって――?
8時開店、20時閉店のローソン発見
時間は少しさかのぼって、K副編集長一行。
「ちゅ、中学校ができるんですか!?」
S記者の指差す先には、「芝浦工業大学附属中学高等学校」の文字。来春に板橋区から移転してくるようだ。
「ぼく、新しい中学校見るの初めてなんですよ!」
なぜか興奮するSを横目に、ずんずんと新興住宅街を進むと、ローソンの看板が見えた。
ローソン江東豊洲六丁目店。チェーン店にはめずらしく、営業時間は8時~20時で、土日祝日は休業するコンビニだ。ここで「おさかなソーセージ」と、「さんま蒲焼」をゲット! 鮮魚ではないが、豊洲で魚を買う目的は達成できた。
負けてられないT編集長一行は
T「......というわけで、Kくんたちは『おさかなソーセージ』と『さんま蒲焼』をゲットしたそうです」
I「えー、おさかなソーセージですか......」
I記者、「それは反則だろ」という顔で苦笑する。
M「私たちも、スーパーやコンビニを探しますか?」
T「うーん、確かに少し歩くとそういうお店もあるんですが......」
ただ、それではK副編集長チームと同じオチになってしまう可能性もある。対抗心もあるし、何よりお腹が空いた。
T「お寿司とか食べたい......レストランとかないですかね」
M「......あ、あそこ、なんか『つきじ』って書いてませんか?」
一行の目に留まったのは、ちょうど道路を挟んで向かい側にあった「有明スポーツセンター」の一隅。そこには確かに、「つきじ魚惣」の文字が――。
T「あー、あれだー、あれですよ! 魚ですよ魚!」
時刻はすでに14時を回っている。ランチタイムの営業終了すれすれだ。3人はダッシュ一歩手前の早歩きで、お店が入っている7階へと急ぐ。
T「あのー、まだやってますか......」
すでに客の一人もいない店内。恐る恐る尋ねると、店員さんが「ああ、やってますよ」。
た、助かった......。
このつきじ魚惣は、なんと展望レストラン。一行の座った席からは、豊洲新市場がよく見える。
頼んだのは、T編集長が「鯛づけ丼」、M記者が「海老と帆立フライ定食」、I記者が「鮪のネギトロ定食」。
疲れた体に、魚のおいしさが染み透る。
M「やはり魚は、豊洲に限りますね~!」
豊洲新市場から、徒歩1キロ。無事に、「豊洲新市場(の近く)で魚を食べる」というミッションを達成したT編集長チームでありました。
豊洲駅前でマグロを食べる
T編集長「ということで、こっちは無事魚にありつけたよ~。Kくんはおさかなソーセージ? じゃあね~」
という調子の電話を受け取り、一方的に現地解散を告げられたK副編集長チーム。
「こっちも生魚を食べたいなあ......」
満足いかないK副編集長に、S記者は「豊洲駅のそばに、うまいマグロ屋があるらしいですよ」とささやく。ゆりかもめにして2駅、一心不乱に1.5キロほど歩いて、たどり着いたのは「まぐろ問屋 西川」。あいにく弁当は売り切れていたので、刺身(600円)を購入する。
お腹が空いていたので、コンビニ弁当と一緒に食べてみた。「海鮮丼」を買ったK副編集長に対して、S記者は「チキンカツ弁当」をチョイス。刺身とカツって、食べ合わせは大丈夫なのか?
海鮮丼に刺身を乗せると、一段と高級感が増す。いいね、いいねぇ。失礼ながら、マグロには「可もなく不可もなく」なイメージがあったが、いざ良いマグロを前にすると、変わってくる。ひと切れ目から、みずみずしさと濃厚さが、口の中に広がった。これが600円とは! S記者も、しきりに「うまいですねえ」と連呼する。なお、チキンカツの感想は、食事終了まで一言も出なかった。
たしかに豊洲でうまい魚は食べられた。今回は時間帯が合わなかったが、もう1店気になる店があった。「西川」の2軒となりにある「すきやばし次郎 豊洲店」だ。ここではサービスランチ(1400円)で、寿司を味わえるという。
K「今度の新市場取材の際は、ぜひここで腹を満たそうと思います」
というわけで、長編でお送りした「豊洲新市場グルメレポート」。グルメはともかくとして、今の新市場はまさに、「都会の廃墟」的な感覚を味わえる、都内ではまさに唯一無二のスポットである。ちゃんとオープンする前に、皆さんも一度は遊びに行ってみてはいかがだろうか。