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秘伝のタレで貴重な天然獣肉をいただく「遠山ジンギス」

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2016.09.21 12:51
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全国各地のウマい肉料理をお腹いっぱい食べ尽くしていく連載「満腹御礼 ご当地肉グルメの旅」。

今回は長野県飯田市南信濃にやってきました。

長野県の南部に位置する飯田市は、「人口1万人に対しての焼肉屋の件数が最も多い焼肉の街」として知られ、コンビニの数より焼肉店が多いと言われるほど! また一家に一枚「MY鉄板」が必ずあるとも言われ、普段から家でも焼肉を楽しむという“大の肉好き”な街なんです。

それだけ焼肉文化が発展した理由は、畜産が昔から盛んだったことに加え、市内に屠場があり新鮮な肉を簡単に手に入れられることができたのが大きいのだとか。

そんなこの地に一般的な焼肉とは異なる、野趣あふれる焼肉があるそうです。その名も「遠山ジンギス」。飯田市のスーパーを中心に販売され、南信州地域では誰もが知っているという人気料理です。さっそくお店に向かいましょう。お店の場所は中央自動車道、飯田山本ICを降り、山道を走ること1時間。秋葉街道ぞい、かつては和田宿と呼ばれた「遠山郷」にあります。

今回お邪魔するのは、遠山郷にある「肉のスズキヤ」さんです。中に入ると社長の鈴木理さんが「遠山ジンギス」について語ってくれました。

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鈴木さん「遠山ジンギスはスズキヤが開発したメニューで、現在では南信州の名物と言われるまで定着しました。『ジンギス』というのは、地元の人がジンギスカンの愛称として言っていたもので、のちに遠山ジンギスカンから商品名も変更したんです。遠山ジンギスを開発したのは私の父である先代の社長で、戦後労働者としてやってきていた朝鮮の人から、タレを揉み込み肉を焼いて食べることを教わりました。その後、試行錯誤の結果、日本人の口に合うタレを開発し、そしてその当時たくさん飼育されていたヒツジやヤギを使い、焼くだけで美味しいジンギスを開発したんです」

一般的なジンギスカンと異なる特徴はどんなところなのでしょうか?

鈴木さん「肉の種類でしょうね。ジンギスを発売してからしばらくして、タレの美味しさが評判になり、常連客の方に『豚や鶏も味付けして売って欲しい』と言われるようになりました。さらにこの地域では、昔から山の獣を食べる文化が根付いており、猪、鹿、熊などを鍋にして昔から食べてきたので、それらの肉もジンギスとして売って欲しいという要望もあったんです。そこから『鹿ジン』『猪ジン』『熊ジン』など、野趣あふれるジンギスが誕生しました。遠山ジンギスは、羊だけではなくそれら山のものも含めた総称として今は使っています」

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山に囲まれ、林業が盛んなこの地域ならではの、獣肉のバリエーションが豊富なジンギスカンだったんですね。鹿や猪はもちろん、熊肉を味わったことがあるという人は、地元以外では少ないのではないでしょうか。昔から熊鍋はお客様をもてなす最高の料理として重宝されてきたそうですから、期待がふくらみますね。

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鈴木さん「スズキヤでは『山と食卓をつなぐ』『都市と山村の交流』という思いから、数年前から山の獣肉を食べる文化を広めようと活動してきました。その一つとして、この地方で昔から食べられていた12種類の肉を『十二支』と呼んで紹介しているんです」

十二支とはこの地方で昔から食べられていた12種流の肉のこと。ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウズラ、ウサギ、ニワトリ、ウシ、キジ、ブタ、猪、鹿、熊の12種類で、これらの肉により親しんでもらうために、スズキヤさんでは各肉の特徴などを広く普及する活動をしています。

鈴木さん「地元以外の人にも手に取ってもらいやすいようなセット商品の販売もしています。その中でも人気なのが、人気お取り寄せ漫画でも紹介された『レンジでチンギスセット』と、川やキャンプ場ですぐジンギスが楽しめる『今すぐジンギスセット』『今すぐ山肉バーベキューセット』です

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「レンジでチンギスセット」は遠山地方から出て行った若い人のために手軽に地元の味を味わえるようにと開発された商品だとか。こちらも興味深いですが、今回はお店のすぐ近くがキレイな遠山川ということで「今すぐ山肉バーベキューセット」を実際に焼いて味わってみることにしました!

「今すぐ山肉バーベキューセット」のセット内容は、猪ジン、熊ジン、鹿ジンの肉の他に、ジンギスカン鍋と、鍋を乗せて固形燃料を燃やし、その場で簡易なコンロとして使える「ジンギスカンバケツ」がセットになっています。ここにお好きな野菜を加えれば完璧な遠山ジンギスがすぐできるというわけです。

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特製ダレの匂いが本当に食欲を刺激するいい香りで、もう待ちきれません。早速、鹿ジンからいただきたいと思います。

口に入れて最初に驚くのは、その柔らかさです! 獣肉の勝手なイメージで「肉は硬く、獣臭いのでは?」という感覚でしたが、この鹿ジンからはそういったものは一切感じません。柔らかさだけでなく、味わいもコクがありジューシーです。

また、ニンニクの効いた特製ダレも、肉との相性が抜群で、鹿肉に旨味をより引き出しています。このタレは、社長だけしか材料や作り方を知らないという、まさに「一子相伝」秘伝のタレ。季節によって配合を変え、肉の旬によっても微調整をしているとのこと。そのこだわりを感じられる味でした。

続いて猪ジンもいただきます。

猪ジンは、鹿ジンよりも歯ごたえがあります。味は豚肉に近いですが、豚肉よりもコクが深く力強い味がします。滋養強壮の肉として古くから食べられていただけあって、なんだか力が湧いてきそう!

そして最後が熊ジンです。鈴木さん曰く、熊の肉は「獣肉の最終到達地点」とも。貴重な山の恵をいただきましょう。

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鹿や猪よりも、さらにしっかりした歯ごたえが。そして獣独特の香りが感じられます。しかし、嫌味のあるものではなく、山の恵を感じるものといったところです。ジンギスにはツキノワグマの肉が使用されており、コラーゲンも豊富で美容にもいいのだとか! 豚肉とも、牛肉とも、鶏肉とも違う、一度食べたらクセになる味です。

どの肉も、想像以上の美味しさでした。やはり、タレだけでなく肉の鮮度にも美味しさの秘密がありそうです。

鈴木さん「私は山のものだからこそ、安心安全でなければならないと考えています。うちでは専属契約した猟師さんとしか取引をしていません。どこの山でいつ取れたということをわかっていないと、適切な処理ができないからです。急な持ち込みをされても、絶対にそれを買い取るということはしません。そもそも山の獣は、畜産で育てられた牛や豚とは扱いが全く違います。個体差が大きすぎて、これをやれば正解ということがないからです。その獣が何を食べていたか、どういう場所で生活していたかなどの情報と長年の経験で培われた感覚で適切な下処理をしないと、美味しい肉にはなってくれないのです」

鈴木社長の獣肉に関する愛情がひしひしと伝わってきました。

今回ご紹介した「今すぐ山肉バーベキューセット」はもちろん、スズキヤで買えるメニューのほとんどが通販で購入することができます。これからの秋冬が獣肉のシーズン。山の獣たちは寒い冬に向かってたくさん食べ脂肪を蓄えます。獣肉の中では最上とされている脂の乗った時期の肉を、ぜひ、秋のキャンプやバーベキューなどで味わってみてはいかがでしょうか?

また飯田市では、9/18に「焼來肉ロックフェス」が催されました。昨年から始まった、南信州名物の焼肉とロックを組み合わせた新感覚の音楽フェスです。ユニークな飯田市の焼肉文化に興味を持った人は、ぜひ飯田市へ足を運んで、遠山ジンギスも味わって行ってください。山からの贈り物に笑顔がこぼれること間違いなしです。

店舗情報

●肉のスズキヤ

住所:長野県飯田市南信濃和田1348

電話:0260-34-2222

営業時間:8:00~18:00、日曜・不定休

「遠山ジンギス」は長野県ほかのスーパー等で購入可能。

http://www.jingisu.com/

※記事中の情報・価格は取材当時のものです。

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