松屋の知られざるチェーン「チキン亭」...唯一の店舗を訪れると、まさかの光景が
看板はチキン亭、メニューは松乃家
現存する唯一のチキン亭が、「チキン亭西新宿店」だ。新宿駅を出て小滝橋通りを北上すると存在する。
掲げられた看板にはどこか懐かしい雰囲気があり、その下に立つのぼりには「ロースかつ定食500円」の文字が大きく書かれている。ランチタイムを微妙に外れた時間帯ではあったが、ワンコイン定食につられたのか、25ほどある席の半分以上は埋まっていた。
席に着いた記者が注文したのは「チーズトマトささみかつ定食」(600円)だ。注文してからフライするため、サクサクの状態で食べることが出来る。混み具合や品物にもよるが、出てくるまでは5分ほど待つ必要がある。
そして出てきたのがこちらだ。カットされたサクサクのささみカツの上に、ニンニクの風味が効いたトマトソースがかけられ、溶けたチーズも絡められている。
肉自体には脂身が無く淡白な味わいのため、トマトソースとチーズの濃厚さでちょうどいい味の濃さになる。これにサラダとみそ汁がついて600円は、他のとんかつ専門店に比べてかなり安めの価格設定だ。
単品で頼んだから揚げはニンニク醤油風味でジューシーだった。
都内唯一のチキン亭、中々にいい所だ、と満足しながら店を出ると、店頭のメニュー表が目に入った。上部には「松乃家」の3文字があり、「チキン亭」の文字は見当たらない。
あれ......?と思いつつレシートを再度確認すると、
「いつも松乃家をご利用頂きありがとうございます。」
の文字が。しかし下部にはチキン亭の文字もある。
謎が更に深まってしまったが、そういったものも含めてレア店舗の味わいだ。
松屋フーズの発表によると、松屋が店舗数を減らしている中、とんかつ業態の店は着々と数を増やしている。その多くが「松乃家」であるため、今後はそちらへの一本化が進むのだろう。メニューの画一化もその影響だと考えられる。今でこそ鶏肉を使ってメニューはささみカツとからあげしかないものの、以前は鶏もも肉のカツもあったようだ。