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奥さまたちが、エアガンでサル対策! 異色勉強会、その背景を伊勢原市役所に聞いた

松葉 純一

松葉 純一

2016.03.03 17:00
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エアガンをかまえる女性(画像提供:合同会社まかく堂)
エアガンをかまえる女性(画像提供:合同会社まかく堂)

2016年3月1日、神奈川県伊勢原市で、「女性のための鳥獣対策勉強会」が開催された。

神奈川県では、野生動物による農作物被害が増加している。神奈川県のほぼ中央に位置する伊勢原市には、北部に国定公園に指定された「大山」がある。大山は古来より山岳信仰の対象として知られ、江戸期には「大山参り」をする講が組織され、庶民に人気があったところだ。この地域は豊かな自然が残されているため、サル、イノシシ、シカなどによるミカン、カキ、キンカン、ナス、カボチャ、タマネギなど果樹・野菜の被害が、農家の悩みの種になっている。

昨年夏、同市が農家の主婦を対象に実施したアンケートでも、女性だけでもできる野生動物被害防止対策について、講習会を望む声が大きかったという。そこで企画されたのが、今回の勉強会だ。その様子が読売新聞などでも報じられると、ネットでも大きな話題になった。

勉強会はどんな様子だったのだろうか。Jタウンネット編集部は早速、伊勢原市役所に電話で話を聞いてみた。

本物の銃そっくりのエアガン

実習に使用されたパチンコとエアガン(画像提供:伊勢原市)
実習に使用されたパチンコとエアガン(画像提供:伊勢原市)

電話で話してくれたのは、同市経済環境部農業振興課の山口友理さんだ。

勉強会は1日13時から、日向地区の集会所で開かれた。参加者は、地元農家の主婦ら16人。まずは野生動物の生態などについて、室内で講義が行われた。講師は、千葉科学大学動物危機管理学科の加瀬ちひろ助教をはじめ、全員女性が務めた。「内容は、あくまでもビギナー向けです」と山口さん。

畑を荒らすサル(画像提供:高山明照)
畑を荒らすサル(画像提供:高山明照)

「2時間ほどの座学の後、屋外で実習を受けていただきました」と山口さんは語る。「まずエアガンの体験です」。エアガンはプラスチック製のBB弾を使用する遊戯銃。殺傷力はないが、外見は本物の銃にそっくりだ。「追い払いが目的なので、実際に当たらなくてもいい、弾がすぐそばを通るだけで、威嚇には充分です」。山口さん自身も何度か試してみたというが、「威嚇射撃を何度か繰り返すうちに、サルの方も学習して、果樹園に近寄らなくなります」とのこと。

エアガンで的を狙う(画像提供:合同会社まかく堂)
エアガンで的を狙う(画像提供:合同会社まかく堂)

エアガンの次に、パチンコも体験してもらった。このパチンコ、実はアメリカ製だ。「小さな石ころを飛ばす単純な仕掛けですが、威力は充分で、撃退効果は大きいようです」と、山口さん。エアガンほど重くないし、手軽に扱えるので、参加者には好評だったという。他に、ロケット花火の実習も行った。

パチンコで的を狙う(画像提供:合同会社まかく堂)
パチンコで的を狙う(画像提供:合同会社まかく堂)

「女性のための鳥獣対策」は、追い払いが目的で、獲物を仕留めるのが目的の狩猟ではない。「サルものは追わず」がポイントだった。

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