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あなたは「元少年A」から逃げ切れるか!? 週刊文春を再現して「1キロ」追いかけっこしてみた

竹内 翔

竹内 翔

2016.02.18 17:00
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元少年Aと対決した週刊文春の記者は、実に1キロにわたってブチ切れ状態の彼に追いかけ回されたという。2016年2月18日発売の「週刊文春」、神戸連続児童殺傷事件の元少年Aへの直撃取材記事の一コマだ。

さすがはセンテンススプリング、なブッ込んだ記事である。だが、筆者の興味はむしろこの1点に集中した。

「1キロ全力疾走で逃げ切るとか、文春記者は体力もすごいんだなあ」

果たして、自分ならどうだろう。生きて帰ることができるだろうか。

文春記者VS元少年Aの追いかけっこ、再現してわかった事実とは?

文春記者VS元少年Aの追いかけっこ、再現してわかった事実とは?

せめて、健脚だけでも文春記者にあやかりたい。そこで、実際に1キロの追いかけっこを再現してみることにした。

「1キロくらい、別に平気でしょ」(←フラグ)

実は、Jタウンネット編集部のある二番町と、文藝春秋は意外と近い(徒歩5分強)。少し回り道をしていけば、ちょうどだいたい1キロの距離になる。というわけで、今回はJタウンネット編集部前からスタートし、文藝春秋(正確には、その近所の紀尾井町ビル)をゴールに設定した。

1人で走ってもよかったのだが、それでは「追われる恐怖」を実感できない。そこで、後輩編集者のKくんを半ば強引に「元少年A」役に仕立て、一緒に走ることにする。

筆者(左)と、「元少年A」役を演じてくれたKくん(右)。役柄上目線が入っているけど、彼は怪しい人ではありません

筆者(左)と、「元少年A」役を演じてくれたKくん(右)。役柄上目線が入っているけど、彼は怪しい人ではありません

時は週刊文春発売当日(18日)、時刻は正午をわずかに回ったころ。風は涼しいが、日差しは温かく、格好のスポーツ日和ではある。

普段運動らしい運動もしていない筆者と「元少年A」だが(ともに20代後半)、「って言ったって、せいぜい1キロですからね」。高校のときは体育で10キロとか走らされていたし、へーきへーき......などと笑っていたのが、後にして思えば完全なフラグだった。

気が付けば背後に聞こえる相手の息遣い

さて、では両者5メートルほど離れ――よーい、ドン。アラサー編集者2人組が、千代田区の住宅街を必死の形相で走り始める。

編集部の入っているビル前で走り出した2人

編集部の入っているビル前で走り出した2人

最初は、割合に余裕があった。真剣に走るのは久しぶりだったが、思ったより体が動く。最近自転車でお出かけとかしているからだな。日ごろ「ネットメディアの記者は外に出ない」だのなんだの言われるが、これなら、自分でも元少年Aを振り切れるかもしれない。

――と思ったのも、つかの間だった。

迫りくる追手

迫りくる追手

「はっ、はっ......!」

「元少年A」ことKくんとは結構距離を離して走っていたつもりだったのだが、気が付けばその呼吸が、はっきりと聞こえるところまで詰められている。ちょっと加速して引き離そうとしたが、陸上用のトラックならまだしも、ここは普通の歩道だ。人をかき分けて走るにしても、限度がある。

そう、これは文春記者の場合も同じだっただろうが、逃走劇の舞台は市街地である。通行人はいる。車も走る。信号もある。ちょっとでも引っかかれば、たちまち「つーかまえた......!」なのだ。セーフティーリードを保つのは、多少体力に自信があっても簡単ではない。

記者と「元少年A」に迫る体力の限界

また、当初は余裕だった体の方も、半分を過ぎるあたりからは軋み声を上げ始めた。

少しでも立ち止まれば、途端に太ももは張り、膝はガクガク。意識してリズムを保っていた呼吸も、すっかりピッチが上がっている。おまけに後半は坂道だ。左胸の辺りがキリキリと痛い。

本気でハートがブレイクしそうになった、麴町駅前の心臓破りの坂

本気でハートがブレイクしそうになった、麴町駅前の心臓破りの坂

これはヤバい。ここで足でももつれれば、もうアウトだ。「元少年A」役が迫ってくる。

「ぜーっ、ぜーっ......!」

だが、聞こえてくる彼の呼吸も苦しい。振り返れば、明らかに辛そうな表情がそこにあった(聞けば、Kくんは二日酔い気味で体調が悪かったのだとか。ごめん)。

そうだ、街中での全力疾走できついのは、「元少年A」の側も同じだったはずである。最後の力を振り絞り、紀尾井町の坂を駆け下りる――。

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やっぱり体鍛えてるんだなと実感

なんとか、ゴール地点に到着した筆者はそのまま、その場に膝を突いた。少し遅れて、「元少年A」役のKくんも追いつく。

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息も絶え絶えとはまさにこのこと

息も絶え絶えとはまさにこのこと

「......いや、これは想像以上にしんどいわ」

なんとか絞り出したのは、その一言だった。

「そうですね、僕も、足はまだ、大丈夫なんです、けど、呼吸が......!」

その場にしゃがみこんだKくんも、息を切らせながら答える。

時間にして、およそ5~6分。と聞くと、大したことがないようにも思えるが、アラサー編集者2人組には結構な苦行だった。まして文春記者の場合、これが1キロで済む保証はなかったわけだし、捕まりでもしたらどうなっていたのかわからなかったのだ。肉体的、精神的なプレッシャーは、想像を絶するものがあっただろう。絶歌だけに。

「でも、元少年Aの側も走りきったわけですからね。サイトに載せてた体がムキムキだって話題になってましたけど、やっぱり鍛えてるんですね」

ようやく息が整ってきた「元少年A」役のKくんが、しみじみつぶやく。言われてみれば、元少年Aは33歳、筆者らと同じアラサー世代だ。文春の記事を読む限り、彼が途中でバテていた様子はないから、その筋肉は見かけ倒しではないことが改めて明らかになった。

しばらく休まないと引き返す気力もなかった

しばらく休まないと引き返す気力もなかった

余談ながら、スタート直後にストップウォッチ代わりに持っていたスマホを取り落とした。画面がバキバキに

余談ながら、スタート直後にストップウォッチ代わりに持っていたスマホを取り落とした。画面がバキバキに

さて、実際に1キロ走ってみてわかったことは、こちらである。

「1キロ全力疾走で逃げ切るとか、文春記者は体力もすごいんだなあ」

結局、最初の感想は正しかったということだ。筆者たちJタウンネット編集部も、文春のようなスクープを追うときには事前に体力を鍛えてからにしよう。

文藝春秋前にて

文藝春秋前にて

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