立春の日には「生卵」が立つらしい→ホントだった!→翌日も試してみると...
あなたは、「立春の卵」を知っているだろうか。2月4日の立春に限って、生卵が「立つ」のだという。
この現象が注目されたのは、戦後まもない1947年。中国の古書に基づいて、上海とニューヨーク、東京の3か所で実験が行われた。当時は新聞各紙をにぎわせたという「立春の卵」だが、現在ではほとんど注目されていない。そもそも、生卵なんて立つの? 気になった記者は、試してみることにした。
立春当日、わずか5分で「立った!」
2016年2月4日、近所のスーパー「マルエツ」で、2個パックの生卵を購入した。パッケージを見ると、採卵したのは「多摩エッグ」なる会社だが、なぜか住所は千葉県木更津市。Jタウン的には、すごくネーミングが気になるが、先を急ぐとしよう。
やることはただ、バランスを取るだけ。両手の指でつまんでは放し、つまんでは放し。これは長期戦になるな――と思っていたら、ものの5分であっさり成功した。あまりに突然立ったので、おもわず「あっ......」と声がもれてしまった。はずかしい。
合成画像じゃないことを示すために、別アングルからの写真も。動画も撮影したので、証拠はバッチリだ。
立春じゃなくても、立った!立った!
あけて2月5日、ふたたび卵と格闘する。きのうのコツを思いだし、少しイジってみると、すぐに立った。なあんだ、立春じゃなくても立つんじゃない。
立春でないことを証明するために、2月5日付の新聞朝刊とともに撮影してみた。
物理学者が指摘した「大発見」
それでは、どうして卵が立つのだろう。物理学者の故・中谷宇吉郎氏は、1947年4月に「立春の卵」なる随筆を残している。それによると、「結論をいえば、卵というものは立つものなのである」そうだ。
卵の表面はザラザラしている。そのザラザラのうち、3~4点が台に接すると、「脚」のような役割を果たすのだ。今回立てた机は、木目調だったため、よけいに立ちやすかったのかもしれない。
戦後まもなくの大スクープ。そこには、ただ「卵が立つ」だけではない、大きな意味合いが込められていた。中谷氏は、考察の末、こう指摘している。
「少くもコロンブス以前の時代から今日まで、世界中の人間が、間違って卵は立たないものと思っていただけのことである。前にこれは新聞全紙をつぶしてもいい大事件といったのは、このことである。世界中の人間が、何百年という長い間、すぐ眼の前にある現象を見逃していたということが分ったのは、それこそ大発見である」