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15周年を迎えたウィキペディアが、地域振興の主役になるかもしれない(前編)

竹内 翔

竹内 翔

2016.02.03 11:00
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各地で広まる「ウィキペディアタウン」の試み

こうした15年の歴史を経て今や、ウィキペディアは社会の「インフラ」ともいえる存在だ。そのポジションを生かして、冒頭に述べた通り、ウィキペディアはさらなる展開を見せようとしている。

上記のイベントには、記事執筆者(ネット上でもたびたび話題になる「地方病 (日本住血吸虫症)」の主筆者・さかおりさんも)や教育関係者など、さまざまな分野でウィキペディアに関わる人が登壇した。中でも目立ったのが「地域」とウィキペディアを結びつける、「地域」にウィキペディアを役立てるために活動している人たちだ。

その一人が、「ウィキペディアタウン二子玉川プロジェクト」を運営する高橋陽一さんである。

高橋さんの取り組みを紹介する前に、ウィキペディアタウンとは何か、を簡単に説明する必要があるだろう。

ウィキペディアタウンは2012年、イギリスの小都市・モンマスで始まった。その名の通り、街(タウン)をウィキペディア化する――つまり、住民やボランティア、時には自治体や図書館など公共機関が力を合わせて、自分の街の名所や施設などをウィキペディア上で記事化する、あるいは記述を充実する、といった活動だ。

「世界で最初のウィキペディアタウン」モンマスの看板(作者:John Cummingsさん、Wikimedia Commonsより、CC BY-SA 3.0)
「世界で最初のウィキペディアタウン」モンマスの看板(作者:John Cummingsさん、Wikimedia Commonsより、CC BY-SA 3.0)

単にウェブサイトなどを作るよりも、ウィキペディアという多くの人が見る、またコンテンツの横展開がしやすい(ウィキペディアは「フリー」な百科事典を標榜しており、そのコンテンツはライセンスに基づいてさまざまな形で再利用できる)場に置くことで、情報をより広く伝えることができ、地域振興に役立てられるというのが、このウィキペディアタウンの肝である。日本でもすでにいくつかの街でプロジェクトが動き始めていて、二子玉川もその1つだ。

一方で二子玉川での取り組みには、他の地域とは違うユニークな部分がある。

後編に続く
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