大晦日の夜?元日の夜?「初夢」っていつ見た夢か、神主さんに聞いてみた
「初夢」ゆかりの神社の神主に聞いてみた
そもそも、初夢の風習は中国から伝承してきたものといわれる。鎌倉時代の「山家集」にある記述が文献上では初出で、その頃は節分の夜から立春にかけて見る夢を指すものだった。
その後、室町時代に入ると「大晦日に見る夢」を初夢だと考えるようになった。だが、年越しの夜は寝ない習慣があったこともあり、江戸時代後期となる1780年頃より「元日から2日に見た夢」を指す説も普及したとされる。その後さらに、いい夢を見るために枕の下に敷く「初夢札」が2日の午後に売られたことから、「2日の夜から3日に見た夢」を初夢とする説まで登場した。
東京都港区の十番稲荷神社は、現在でも「福絵」という名前で夢見札を授与している。宝船に乗った七福神の絵が描かれたもので、同神社のホームページ上では「正月に枕の下に敷いて寝ると良い夢が見られると言われています」という説明書きがある。
というわけで、今回は同神社の神主さんに「結局、初夢はいつの夢なのか」という疑問をぶつけてみた。すると、神主さんは「諸説ありますが」と前置きした上で「元日の夜から2日の朝にかけて見る夢だと聞いています」と話した。
なるほど、初夢ゆかりの神社がこう考えているならば、現代ではこの説が一般的と見ていいのだろうか――。そう早合点しかけた記者に対して、神主さんは以下のように続けた。
「そうはいっても、新年を迎えて初めて見た夢を『初夢』だとして考えていいと思います。見ようと思って必ず見ることができるものでもないですし。昔から、娯楽や占いといった要素が強いものなので、各人が好きに捉えて構わないんじゃないでしょうか。おめでたく新年を過ごせれば、それに越したことはありませんよ」