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イナゴソース人気が凄い! 昆虫から作った調味料は「まったく未知の味」

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2015.12.07 17:00
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イナゴソース、トノサマバッタソース、ジャンボミールワームソース――。全5種類の「昆虫」を原料につくられた「昆虫発酵調味料」が、和歌山の地域活性化支援団体「いなか伝承社」から2015年10月31日に発売された。

売上絶好調だというイナゴソースとは
売上絶好調だというイナゴソースとは

メイン商品は、国産天然物のツチイナゴをベースに、麹や塩を加えて発酵・熟成させた「イナゴソース」。その製造方法は、伝統的な醤油の醸造法とほとんど同じ。ただ一点、大豆が「昆虫」に代わっただけである。

いったいなぜ、大豆の代わりに「昆虫」を使おうと考えてしまったのか......。いなか伝承社の運営者で、イナゴソースの開発者でもある田中寛人さんに詳しい話を聞いた。

何にも例えようのない、全く未知の味

そもそも、田中さんがイナゴソースの開発を思い立ったのは2013年のこと。

「醤油発祥の地である和歌山県湯浅町に残る伝統的な醸造技術を活かして、何か全く新しい商品をつくれないか。そういった思いから、このプロジェクトをはじめました」

最初から、昆虫を使おうと思っていたわけではないという。ただ、田舎に残る地域資源の「見える化」をコンセプトとするいなか伝承社では、以前からタニシやアユなど野生生物を食べるイベントを実施していた。

そのため、プロジェクト開始直後から「野にあるものを使う」という方向性は固まっていたと田中さんは語る。

「最初に目をつけたのはドングリだったんですよ。和歌山は備長炭の産地として知られているので、炭の原料となるウバメガシから採れるドングリはぴったりだと思ったんですが......、ダメでした。炭を製造するために伐採し過ぎてしまったらしく、ドングリは全て植樹に使うらしいんです(笑)」

その後、川に住む淡水魚で魚醤を作ろうと試みるも断念。試行錯誤のうえ見つかったのが「イナゴ」だったという。湯浅町の醤油醸造元に企画を持ち込み、翌14年に試作品が完成したという。

これが、醸造をはじめたばかりの状態。イナゴの形が残っている
これが、醸造をはじめたばかりの状態。イナゴの形が残っている
9か月後にはほぼ液体状に。「絞り」の工程を経てイナゴソースが完成
9か月後にはほぼ液体状に。「絞り」の工程を経てイナゴソースが完成

完成した試作品は「和の鉄人」として知られる料理人・道場六三郎さんから絶賛を受けるなど、多くの人から好評だったという。これに確かな手応えを感じた田中さんは、本格的な商品化を目指し活動を開始。クラウドファンディングで資金提供を募集するも、目標金額の6%ほどしか集まらず不成立に終わるなど紆余曲折ありつつも、15年10月末の発売に至った。

発売以来テレビや新聞などのメディアに幾度も取り上げられたこともあり、売上は絶好調だそう。日本各地の「変なモノ好き」をはじめ、飲食店や食品会社の開発部からも注文が寄せられているという。

開発者の一押しメニューは「アイスクリーム」

「醤油麹」と「米麹」の2種類が存在するこのイナゴソース、いったいどんな味がするのだろうか。それぞれの味について田中さんから聞いた情報をまとめると、以下のようになる。

「醤油麹」:基本的には醤油に近い味なのだが、独特のクセがある。そのクセや風味が、どこか虫っぽい。
「米麹」:何にも例えようのない、全く未知の味。美味しいことは確かなのだが、経験豊かな料理人でないと使いこなすのは難しいかも。

どちらのソースも卵かけご飯と相性抜群で、実際に食べた人も絶賛するほどだそう。田中さんのおすすめはアイスクリームで、「醤油麹」をかけるとキャラメル味に、「米麹」をかけると塩バニラのような味わいになるそうだ。

この10種は研究用だというが、販売もしている
この10種は研究用だというが、販売もしている

また、商品化にあたって独立行政法人「農業生物資源研究所」と連携し、ミルワームやカイコの幼虫、トノサマバッタといった別の昆虫をつかった醸造にもチャレンジし、味の違いを追求しようと試みた。

実際に試飲した人によると、イナゴやトノサマバッタといった「成虫系」は高タンパクでコクが強く、ミルワームやカイコといった「イモムシ系」は低タンパクでサッパリとした味わいに近くなるそうだ。田中さんによれば、次は栄養価に優れた「カイコのマユ」の醸造に挑戦したいという。

価格は「イナゴソース」2種のセットが5400円(税込)、その他の昆虫も含めた「10種セット」が16000円(同)。いずれも、いなか伝承社のホームページから購入できる。

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