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「たわん」「うったて」「さし」...広島人・岡山人が共通語だと思っていた方言

竹内 翔

竹内 翔

2015.10.31 11:00
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共通語だと信じていたのに、実は方言。通じなくて、「え」「え」――全国の体験談を紹介してきた本企画、今回は広島県・岡山県を中心とした、中国地方出身者からの投稿を取り上げたい。

お隣同士だけあって、両県でともに使われている言葉もあれば、片方でしか使われない言葉も......。皆さんがご存じの言葉は、果たしていくつあるだろうか。

「たう」と「届く」はどう違うの?

まずは広島から。複数のユーザーから証言があったのは、「たう(たわん)」だ。

「『たう』は『手が届く』や『板が届く』。わかりにくいでしょうが、長さなどが足りる・足りないというときに使います。『郵便が届く』というような場合は使いません」(広島県→佐賀県・年齢不明女性)

同じく「たう」。

「県外の義母が子どもに(棚の上か何かにあるものを)、
『あれ、取ってきて』
と頼みました。手が届かなかったので子どもは、
『たわん! たわん!』
と言ったのですが、すると義母は『嫌だ』という意味か何かと勘違いしたらしく、
『お手伝いをしないのは、ダメ!』
と叱られたそうです」(広島県・30代女性)

物差しのことは「さし」

1人目のユーザーが説明するように、「たう(たわん)」は、長さや大きさ、距離などが十分(不十分)ということを指す言葉だ。漢字にすれば「足う」だろう。広島を代表する方言の1つで、東京にある県のアンテナショップは「TAU」と名付けられている。

もう1人、広島県民からの証言を紹介したい。

「上京したての専門学校生のころ、『さし取って』と何度もお願いしたのに通じなかった。『さし』=『物差し』。『もの』を省いただけだから通じるだろうと思ってたけど、周りの人で理解できる人はいなかった」(広島県・年齢不明男性)

調べてみると、「さし」という言葉は広辞苑にも載っており、広島に限らず岡山、また西日本の比較的広い地域で散発的に使われているという。なので広島弁とは言い難いのだが、通じないところでは上記のとおりまったく通じないので、一種の方言と言っていいだろう。

岡山特有?の言葉「うったて」とは

次いで、岡山県民の証言から。

「たまたま書道の話になり、友達が書いた字に自分が『綺麗じゃけど、もっと「うったて」はっきりした方がええと思うわー』と言ったところ、『え? 「うったて」って何???』。そのときに方言なのかと気づいた」(岡山県・10代女性)

この「うったて」、隣り合う広島でもほとんど通じない言葉だ。その意味は? 別のユーザーからの投稿をご覧いただこう。

「うったて。小学校の書道の時間、当たり前に聞く言葉。一番最初に筆をおくところ、といいますか。『はい、うったて大切にね』『うったてできてないよ』とか」(岡山県・20代女性)

というわけで、「うったて」とは書道の「始筆・起筆」を意味している。四国の一部で通じるほかは、ほとんど岡山でしか使われていない。謎の言葉だ。

のうのうさんになってぼうちに行ったから

現在京都府在住、岡山県は美作地方出身の女性からは、

「目をしぶれ(目を閉じろ)」
「腹が苦る(腹が痛い)」
「けっぱんづく(つまづく)」

など多数の言葉を挙げてもらったが、興味深かったのは「のうなる(亡くなる)」。この言い回し自体は岡山に限らずいくつかの地域で見られるが、その例文が地元の息遣いを感じさせる。

「私が子ども時代には、身近な人やペットが死んだことをわかりやすく説明するために、
『~~はのうなって、のうのうさん(仏さん)になってぼうち(遠くへ)行ったから、ぼうちに早う行けるようにのうのうさんあんあんしような』
と祖母がよく言っていました。
これらの言葉が全く聞かれない場所に就職したときは、ここは異国か?と思いました。それくらい私が子どものころ(かれこれ30年ほど前)には大人も子供もよく使った方言だったと思うんですが、今は知らない人も多いんですよね(笑)」
中国地方出身者にはなじみ深いものも多そう(編集部作成)
中国地方出身者にはなじみ深いものも多そう(編集部作成)

CMでもよく使うけど...

最後に、島根県の女性が応募してくれたのは「ひもおとし」だ。

「こちらではテレビCMでおなじみです。標準語だと思っていましたが、方言でした。『七五三』のことです」

「ひもおとし(紐落とし)」は、島根・鳥取の山陰地方で七五三に相当する行事として行われている。CMというのは、地元を代表する老舗「人形のはなふさ」のもので、

「ひもおとしってなーに?」
「ちょっと大人になることね」

というやりとりは、地元出身者なら誰でも真似できるのだとか。方言というより、風習の地域差に属するものだろうが......。

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