「夜中トイレに立ったら、裏のお宅から『うあああ!』と悲鳴。どうも原因は我が家らしく...」(福岡県・20代男性)
別に、迷惑をかけているつもりはなかったんだけど――ご近所トラブルの「加害者」からは、しばしばそんな言葉が聞かれる。当人はほとんど気にしないような何気ない行動が、「被害者」にとっては耐え難い苦しみということもある......それが、こうしたトラブルの難しいところだ。
福岡県のQさん(20代男性・会社員)からの投稿も、知らず知らずのうちに「加害者」になっていたケースだ。
日ごろ大人しい裏のご夫婦が
実家に住んでいたころの話です。ある朝、父がこんなことを言いだしました。
「昨日の夜さ、トイレ行っとったら、急に『うあああああ!!』って悲鳴みたいな声が聞こえたんだけど......」
父は昔から頻尿の気があり、夜中にたびたびトイレに立つ習慣がありました。その夜も、いつものようにトイレに向かい、用を足していたところで、その叫び声を聞いたというのです。
「何それ、お化け?」
「いや、あの声は裏のおじいちゃんだと思う......」
「裏のおじいちゃん」というのは、我が家のお隣(ちょうどトイレがある側)に住んでいる方です。奥様と2人暮らし、そろって温和な方で、引っ越し以来、親しくお付き合いしてきました。
何かあったのでは――心配になった母と私は、様子を見に行くことにしました。
「実は、いつも明かりがまぶしくて...」
幸い、お2人は特に変わったところもなく、お元気そうでした。しかし、昨日の悲鳴について聞くと、途端に表情がくもります。
「いや、今まで黙っていたんだけど......」
おじいちゃんは遠慮しつつ、しかし決心した様子で事情を話し始めました。
「実は、あなたのところのトイレの電気が、まぶしくて、それが気になって気になって......」
おじいちゃんが言うところによると、うちのトイレと、お2人の寝室はちょうど向かい合うような位置にあるのですが、我が家でトイレの明かりを点けると、その光が寝室にかなり強く差し込んでくるというのです。確かにトイレの方にはカーテンなどを付けていない上、光源も裸電球。おじいちゃんの寝室の窓も障子張りですから、光を遮るものはどこにもありません。
「眠りが浅い方だから、ぱっと光が入ってくるとそれだけで目が覚めちゃってねえ......。衝立を買いもしたんだけど、どうも効き目がなくて。最近は光がいつ来るか気になって余計眠りが浅くなって、昨日はつい声を上げてしまったんだ」
我が家でも遮光カーテンを買って対応
ずいぶん我慢していたのでしょう。おじいちゃんは穏やかな口調ながら、堰を切ったようにこれまでの不満を口にしました。私たちはもちろん平謝りで、その日のうちに遮光カーテンと、光の弱い電球を買いに出かけました。
晩になって、菓子折りを持って再度両親がお宅を尋ねるとともに、実際のまぶしさを確認しました。私は自宅で明かりを点けたり消したりする役目でしたが、母いわく、「あれは相当きついわ」。
幸い、遮光カーテンなどの効果で、まぶしさの方はだいぶ軽減されたようです。父もそれ以来、裏のお宅にできるだけ気を遣うようになり、水音で起こさないよう、小さい方のときは、朝まで流すのを我慢しています。