米をかす、放課、ケッタ、舌ベロ...東海地方出身者が「方言」だと知らなかった言葉
「え、この言葉、方言だったの!?」――そんな体験をしたことがある人は、思っていた以上に多いらしい。
Jタウンネットでは、「共通語だったと思ったのに、実は方言だった言葉」をこれまで4回にわたって取り上げた。読者の皆さんからの反応は想像以上に大きく、編集部にはメールが続々、ついには投稿専用アドレスを別に作らなければならないこととなった。ありがたい限りだ。
さっそく寄せられた体験談を地域別に分けて、順次紹介していきたい。まずは、名古屋圏を中心とした東海地方編だ。
「放課後」の意味がわかりませんでした(愛知)
「放課」が方言だとわかったとき、すごく驚きました。
(この辺では放課=休み時間なので)「ドラえもん」や「ちびまる子ちゃん」で言っていた「放課後」を、休み時間のことだと勘違いしていました。意味が分かるまで、「東京とかこの辺以外は、休み時間中家に帰っていいんだぁ......いいなあ......」とか思ってました(笑)。
ちなみに初めて知ったのは中学1年生の英語の教科書で出てきた「after school」の意味からでした。衝撃でした(笑)。(愛知県・10代男性)
チャット中にケッタが方言だと知る(愛知)
鳥肌=さむぼろ。
冬の体育の日に、「さむぼろが出た」と言ったら通じなかった思い出。その後何故か、鳥肌派とサメ肌派に分かれた。もちろん、さむぼろ派は自分だけで、ただ黙っていた。
自転車=ケッタ。
東京の友達とチャットしていたときに、ふと相手から「ケッタとチャリンコのことだよな?」。確認されたとき、「ケッタって方言だったのか......」と思った。(愛知県・30代男性)
「お値打ち」も名古屋弁!?(愛知)
名古屋市在住です。
(1)お米を「かす」
お米を「研ぐ」という意味なのですが、主人に「お米かすから待って」と言ったところ、「どこに貸すんだ」と不思議がられました。
(2)お値打ち
「野菜がお値打ちになってるね~」と友達に行ったら、「何のこと?」と宇宙人を見る目で見られました......。
(3)はぁまわししやぁよ
はぁ=早く、まわし=支度、しやぁよ=しなさいよ、の意味です。
地球人じゃないと言われました。(愛知県・年齢不明女性)
同じ「来れば」でも発音が違う(愛知)
6歳ごろからずっと横浜に住んでいるのですが、母親が豊橋市出身で三河弁のなまりがあります。
たとえば、「来れば」と文字では一見共通語に思えますが、私はこれをずっと「これば」と言っていました。高校生の時に友人に「くれば、でしょ?」と言われて衝撃を受けた記憶があります。その日、母親や豊橋の親戚に話したところ、全員驚いていました。
確かに、携帯で文字を打ってるとき、「これば」だと変換されないな、とは思っていたのですが......まさか方言だったとは(笑)。
地方に住んでいなくても、親の影響でなまることもあるんです!(笑)(神奈川県・20代女性)
とっつく、とっつかん(岐阜)
とっつく、とっつかん。届く、届かないの方言です。
会社で社員さんに「とっつかん?」と聞いて、「はあっ? とっつかん?」と聞き直されたときに、「あっ、方言なんだ!」と気づきました(笑)。(岐阜県・40代女性)
「舌ベロ」って「舌舌」じゃん(静岡)
私は幼少期神奈川県に住んでいたのですが、父が静岡出身だったので「舌ベロ」は普通に使っていました。でも、神奈川で「舌ベロ」と言うと、「『舌』か『ベロ』でしょ!」と笑われてしまうのです。
なぜ我が家では「舌ベロ」なのか不思議ですが、静岡に越してきてようやく方言だったと理解。
今、静岡県民に「舌ベロだと、関東で笑われるよ」と言っても、みんな首をかしげます。私もそうですが、舌ベロ=舌舌(ベロベロ)っていう感覚、ないんですよね!(静岡県・20代女性)
「米をかす」は愛知以外でも使われる
以上、9つの言葉を紹介した。
ケッタ(=自転車)、放課(=学校の休み時間)は名古屋方言として有名なので、ご存じだった方も多いはず。それにしても「放課」の意味に引きずられて、「放課後」という言葉の意味も勘違いしていた、というのはちょっと驚きだ。
「米をかす」は平安時代から使われている言葉で、水につけて米に水分を含ませる、というニュアンスも持っている。愛知県に限らず、広い地域で散発的に用いられていて、「うるかす」という表現もあるが、この場合は研ぐより「水分を含ませる」の意味の方が強くなる。「お値打ち」も全国区の言葉だが、愛知県内では特に「お得」という意味合いが強調され、他地方よりも好んで使われる傾向があるという。
「とっつく」は「とっつきにくい」などと同じ「取りつく」の変化形だろう。三河地域や北陸地方の一部で、岐阜と同じ「届く」の意味で使っているところがあるらしい。
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