疲れて「せこい」と言ったらあわや大ゲンカ...各地の「実は方言」だった言葉
前回に引き続き、「共通語だと思い込んでいたけど、実は方言だった」言葉を読者投稿から介したい。
(愛知以西はこちら)
えっ、通じないの? 各地の「実は方言」だった言葉...「ばくる」「くだく」「ネチ」
石川「こけの味噌汁っておいしいよね」
(1)「なん(何、~なの?)」
関西地方の友人とバスケットボールの試合を見に行ったとき、スコアボードが見えにくかったため、「ねえ今、なんなんなん?」と尋ねたところ、友人からは返答なし。
「なんなんなん=何(対)何なの?」という意味だったのですが、伝わりませんでした。子どものころから当たり前に言っていたのでびっくり!
(2)「かたがっとる(傾いている)」
東京にインターンシップの研修に赴いたときに、傾いている箇所を見つけたので「かたがっとるよ」と伝えたのですが、相手は不思議顔。そうか、これは方言かと思い「かたがっているよ」と言い直したものの、表情は変わらず。話を聞くと、傾く=かたがる自体が方言とのことでした。
(3)「ドブス(溝)」
道路横の排水溝などの溝のことを「ドブス」と呼びます。主人いわく、県外から来た人に「今日、ドブスにはまって~」と言うと、たいていは「ええっ?!」と驚きの声が返ってくるそうです。
(4)「こけ(きのこ)」
小学生のころ、「こけの味噌汁っておいしいよね」と埼玉に住む親戚に話したら、「コケなんか食べちゃダメよ!」と怒られてしまいました。県外では、こけ=緑色の苔なんですね。(石川県・20代女性)
愛知「ちんちんだから気をつけて」
まわしをする(=用意をする)。「早くまわしして!」と主人に言ったら、???って顔されました。それ以来、「用意して」と言い換えていますね(笑)。
ちんちん(とても熱い)。「やかんのお湯ちんちんだから、気をつけて!」と言ったら、またもや主人は「は?」って言いました。他県ではなんて言うのか、逆に聞きたいです......。ちなみに、ちんちんの最上級はちんちこちん(笑)。(愛知県・30代女性)
広島「これ、さげといて」 新入社員「???」
さげる。意味は「(荷物を)持っておく」。
工事の現場で、部品の入った箱を渡されて、「ちょっと、これさげといて」と言われたから、棚に箱を持っていこうと(下げようと)して、歩き始めたら怒られました。
「その場で、部品の箱を持って立っておいて」という意味でした。県外から来た新入社員にはわかりません。(広島県・30代女性)
徳島「せこいな」 関西「なんやと!」
以前私が住んでいた徳島県では、疲れたことを「せこい」と言います。約30年前に徳島から大阪に引っ越してきたのですが、ある時疲れたので友人に「せこいな~」と言うと、「俺のどこがせこいねん!」とマジ切れ。私は訳が分からず「???」と困惑したのですが、普通は細かくてケチなことやずるいときに「せこい」を使うことを後から知り、「このワードは封印しないと......」と心に誓いました。(大阪府・40代男性)
同じ言葉でも所変われば...
以上、東海以西からの投稿を中心に紹介した。
広島の「さげる」は、「手提げカバン」などと同じ「提げる」。この語彙自体は共通語でも存在するが、投稿にもあるとおり広島では微妙にニュアンスが違う上、使う場面もかなり多い。「せこい」や「こけ」に至っては、同じ言葉なのに意味はまったく異なるので、紹介したようなすれ違いを生んでしまうことも。日本語って難しい。
※なお、第1回の記事で「コウモリ」という言葉を方言として紹介したが、これは洋傘=コウモリ傘の略で、全国的に用いられているものでした。たいへん失礼いたしました。
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